更新日: 2023.04.26 セカンドライフ

60代の5人に1人は「貯蓄ゼロ」!? 60歳からでも可能な「老後対策」とは?

60代の5人に1人は「貯蓄ゼロ」!? 60歳からでも可能な「老後対策」とは?
60歳で定年退職を迎え、65歳になると老齢年金を受け取り始めるという人も多いでしょう。また、本格的に老後の生活を意識する人も多いかもしれません。もはや「年金だけで悠々自適に老後生活を送る」のは過去の話といっても過言ではありませんが、年金や貯金を頼りにしたい人も多いと考えられます。
 
本記事では、60歳で貯金がない人は実際どのくらいいるのか、60歳からでもできる老後の生活対策について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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60歳で貯金ゼロの人の割合

まず、60歳で全く貯金がない人の割合を確認します。
 
金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)各種分類別データ(令和4年)」によると、60歳代の金融資産非保有割合は20.8%になっています。つまり約5人に1人は貯金を含む金融資産がないことが分かります。
 
金融資産の保有の有無にかかわらず、60歳代全世帯の金融資産保有額の平均は1819万円、そのうち預貯金は834万円です。ただ、全体の中央値が700万円になっており、預貯金の中央値もそれ以下と考えられます。
 

貯金ゼロでは生活できない

当然ながら60歳以降も生活するためにはお金がかかります。老後のお金でまず思い浮かべるのは年金です。
 
いままで年金保険料を満額払っている場合、国民年金(基礎年金)のみの場合は月額6万6250円、厚生年金加入者は、夫婦2人の標準的な年金額の場合月額22万4482円です。
 
ただし、老齢年金は原則65歳から受け取るため、60歳からもらうためには繰上げ受給申請を行う必要があります。はやめに受け取れるメリットはあるものの、繰上げ受給請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わらないデメリットがあります。
 
自営業等で基礎年金のみの場合は毎月6万円ほど、平均的な会社員世帯の場合は基礎年金と厚生年金をあわせて、2人で毎月22万円ほど受け取れますが、これだけでは生活するのは事実上非常に困難です。なぜなら、年金収入を超える支出がかかる可能性が高いからです。
 
総務省統計局が発表している家計調査年報(家計収支編)によると、2021年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月額22万4436円、65歳以上の単身無職世帯は月額13万2476円となっています。
 
平均的な会社員世帯の場合はギリギリ黒字になるかどうか、老齢基礎年金しか受け取れない自営業者等の場合は赤字です。
 
また、上記の家計調査年報に記載されている消費支出はあくまで「最低限の生活費」なので、家電製品の買い替え等の臨時支出、病気やけがで病院に行くなどの想定外の支出も考えると実際はさらにかかる可能性があります。赤字をカバーするには収入を増やすか貯金を使う必要があります。
 

60歳からでもできる老後の生活対策

結論からいえば下記の対策が必要です。
 

●60歳以降も仕事を辞めず、できる限り長く働いて年金以外の収入を確保する
●無駄な支出がないか特に住居や保険などの固定費を優先的に見直す

 
最も優先度が高いのは「できる限り長く働くこと」です。年金額や消費支出のデータから分かるように、もはや年金だけで悠々自適な老後生活を送ることができる時代ではありません。
 
「生涯現役」のつもりで、できる限り働いて収入を得ましょう。たとえ月10万円でも年間120万円、5年働くと600万円です。「ちりも積もれば山となる」の言葉もあるように、積み重ねると無視できない金額になります。
 
住居も賃貸の場合は、夫婦2人でも生活できる間取りにサイズダウンするなど、家賃を安くできないか検討してみましょう。
 

まとめ

今回は60歳で貯金ゼロの人は実際にどのくらいいるのか、60歳からでもできる老後の生活対策について解説しました。もちろんお金以外の問題もあるので一概には言えませんが、できる限り長く働くなども検討しましょう。
 

出典

金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)各種分類別データ(令和4年)

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支

国税庁 No.1180 扶養控除

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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