更新日: 2023.04.27 定年・退職
勤続年数「1年未満」でも退職金をもらえる? 転職する前にチェックしたい退職金制度
そこで本記事では、退職一時金(退職金)について解説していきます。中でも在職期間が1年未満と短い場合でももらえるかどうかについて着目していきます。退職金制度全体の理解としても、ぜひお役立てください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職金制度は企業独自に取り決める
退職金は、税法上の区分では「退職所得」になります。退職所得について、国税庁では次のように解説しています。
「退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与およびこれらの性質を有する給与(これらを「退職手当等」といいます)に係る所得をいいます」
そもそも退職金制度は、退職金を支払うかどうかも含めて企業が決めてよいことになっています。そのため、退職金を支払わないとする場合でも罰則やペナルティーなどはありません。
同時に、退職金を支払う場合でも対象となる勤続年数は企業独自に取り決めてよいことになっています。通常は勤続3~5年以上などと決めている企業が多いですが、在職期間が1年未満でも退職金の対象となる企業もあります。
在職期間が1年未満でももらえる場合がある
東京都産業労働局が公表している「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によると、自己都合退職で勤続年数1年未満でも退職金を支払う企業は退職一時金制度導入企業689社のうち17社(2.5%)ということです。会社都合退職の場合は64社(9.3%)にのぼり、勤続年数が浅くても退職金が受けられることが分かります。
参考までに、退職金の対象となる勤続年数について、自己都合退職、会社都合退職にわけて紹介します。
【自己都合退職】
●1年未満:17社(2.5%)
●1年:124社(18.0%)
●2年:77社(11.2%)
●3年:355社(51.5%)
●4年:11社(1.6%)
●5年以上:61社(8.9%)
【会社都合退職】
●1年未満:64社(9.3%)
●1年:170社(24.7%)
●2年:63社(9.1%)
●3年:223社(32.4%)
●4年:9社(1.3%)
●5年以上:41社(6.0%)
退職金がもらえるかどうか調べる方法
退職金がもらえるかどうか不明な場合、受給資格などについて調べる方法は次のとおりです。
●総務や人事など給与や退職金の担当者へ直接尋ねる
●社内の規程(就業規則や退職金規程など)を確認する
前述のとおり、退職金制度自体は強制的な制度ではないため、あくまでも企業が独自に取り決めている制度です。そのため、労働基準監督署など社外機関へ相談しても自社の退職金については分かりません。
退職金があるかどうか確認したいときは、自社の総務部署など給与関係の担当者へ直接尋ねる方法が早いでしょう。ただし、退職後の転職を考えている等の理由で直接尋ねつらい場合には、社内規程を自分で確認する方法があります。
退職金制度のある企業では、退職金規程が作成されています。一般的には、働くうえで重要なルールをまとめた就業規則と一緒に保管されていることが多いです。退職金制度のある企業であれば、社内のイントラネットで検索すると退職金についての記載があるはずです。一度検索してみることをおすすめします。
まとめ
退職金制度は企業が独自で設定できるため、制度概要については自身で調べるほかありません。退職金について調べたい場合には、社内イントラネットで検索する方法や、総務や人事担当者へ相談する方法があります。
その際、退職金制度の有無と、対象となる勤続年数は必ず確認しましょう。ほとんどの企業では3年以上を最低勤続年数として設けています。1年未満でも退職金の対象となる企業もあるようですが、ごくわずかです。退職金に関して、自社の規程がどうなっているのか事前に確認しておくことをおすすめします。
出典
国税庁 No.2725 退職所得となるもの
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版) 勤続年数
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー