更新日: 2023.05.08 セカンドライフ

来年定年を迎える64歳会社員。「貯蓄1000万」あればあとは年金だけで暮らしていける?

執筆者 : 柘植輝

来年定年を迎える64歳会社員。「貯蓄1000万」あればあとは年金だけで暮らしていける?
定年前から老後に向けてお金の準備をしていたにもかかわらず、いざ定年を迎えるとなると不安になってしまう方も少なくないようです。そこで今回は「65歳で定年退職し、貯蓄が1000万円ある」場合、年金だけで暮らしていくことができるのか考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

会社員が65歳からもらえる年金はどれくらい?

厚生年金に加入していた会社員が65歳からもらえる年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金です。令和3年度末における、厚生年金受給者の老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた平均年金月額は14万5665円、年額に換算すると174万7980円となります。
 
また、国民年金受給者の老齢基礎年金の平均年金月額は5万6479円、年額に換算すると67万7748円となります。
 
図表1
 

平均月額 平均年額
老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計 14万5665円 174万7980円
老齢基礎年金 5万6479円 67万7748円

 
※筆者作成
 
一例として、会社員の夫と専業主婦の妻の場合、もらえる年金は夫婦合わせて年額242万5728円となります。
 

老後の生活費はどれくらいかかる?

総務省の家計調査報告によれば、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」における消費支出と非消費支出の合計は毎月25万5100円、年間では306万1200円となります。前述の、夫婦合わせてもらえる年金額(年額242万5728円)から計算すると、年間で63万5472円も不足してしまいます。これを踏まえると、2人以上の世帯が年金のみで生活することは、一般的に見て厳しいものがありそうです。
 
図表2
 

年金年額 年間支出 不足額
242万5728円 306万1200円 63万5472円

 
※筆者作成
 
一方で、「65歳以上の単身無職世帯」における消費支出と非消費支出の合計は毎月14万4747円、年間では173万6964円となり、年金だけで暮らしていくことも不可能ではなさそうです。
 
図表3
 

年金年額 年間支出 余剰金
174万7980円 173万6964円 1万1016円

 
※筆者作成
 

貯蓄が1000万円あれば、あとは年金だけで老後生活していくことはできるのか

ここまで見てきたように、単身者であれば年金だけで日常的な支出を何とか賄っていくことができそうです。それに加え貯蓄が1000万円あれば、けがや病気など突発的な支出が生じたとしても十分対応していくことが可能でしょう。
 
しかし、夫婦で生活していくとなると話は別です。年金だけでは生活費が年間63万5472円不足し、これを貯蓄から補うと、1000万円あったとしても15年から16年の間に尽きてしまいます。
 
夫と妻の両方が厚生年金に加入していた場合など、年金だけで生活費を賄えそうなケースを除き、夫婦2人が年金と1000万円の貯蓄だけで生活していくことは難しいでしょう。
 

年金だけで生活できない場合は?

年金だけで生活することが難しい場合、できる限り長く就労し、その収入で生活費を賄っていくことを検討しましょう。
 
勤務先での再雇用やキャリアを生かした再就職以外にも、シルバー人材で働くなど、老後の就労にはさまざまな方法があります。人脈やスキル次第では起業も選択肢に入るでしょう。
 
同時に、生活費を見直すことも重要です。生活にかかる費用は年齢や職業、収入など自身の状況に応じて適正な額にしていくべきです。無駄な部分がないか、家計を積極的に見直していきましょう。
 
例えば、日用品の買い物はスーパーやドラッグストアを中心にして余計な物は買わないようにする、加入している保険を見直して不要な部分を削減する、といった方法があります。
 
これらの方法を試してみても、どうしても生活できなくなってしまったときは、生活保護を頼ることもやむを得ません。
 

貯蓄1000万円あっても年金だけで生活できるとは限らない

1000万円という決して少なくない貯蓄があったとしても、年金受給額や生活費によっては、老後を安泰に過ごせるとは限らないようです。
 
しかし、今のうちから定年後について考えておけば、今後の生活を見直し安定した老後を迎えることも可能になるでしょう。これを機に、ご自身の老後について改めて考えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要

 
※2023/5/8 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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