更新日: 2023.05.06 セカンドライフ

定年までカウントダウンが始まった“アラカン”が老後資金を増やす方法

執筆者 : 柴沼直美

定年までカウントダウンが始まった“アラカン”が老後資金を増やす方法
アラカン(アラウンド還暦)。アラフィフと違って、老後資金を準備する時間がありません。
 
あと1年、2年で還暦を迎える場合、決して多額ではない老齢年金とどうやって付き合っていくか、取り組みのラストスパートを探してみたいと思います。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

アラカンにとって新NISAの活用の場はあまりなさそう

2024年から新NISA制度がスタートします。投資枠の拡大や投資期間の恒久化など、従来と比べて取り組みやすくなりました。

(1) 従来では、年間非課税投資枠はつみたてNISAが40万円、一般NISAは120万円でしたが、新NISAでは360万円に拡大します。
(2) 非課税保有期間も無期限(恒久化)とされ、これまでよりも長期的な投資が可能になります。
(3) 売却分の非課税保有限度額が再利用可能になります。

このように、利用しないなんてもったいない制度に生まれ変わりますが、これは現役世代には当てはまっても、還暦間近の場合は「猫に小判」です。(2)の非課税期間の恒久化を例にあげても、還暦間近ですと「投資期間」があまりありませんので、新制度を生かすことができません。
 

老齢厚生年金だけ、老齢基礎年金だけの支給開始年齢の繰下げ

投資にとって最大の味方は「時間」ですが、還暦間近の場合それを使う機会がほとんど残されていないので、使える制度を総動員しましょう。
 
1つ目は、老齢年金の支給開始年齢の先送りです。老齢年金は現在65歳支給開始です。自分の現在の体力や家計を鑑みて、先送りできると思えば積極的に先送り(繰下げ)を検討しましょう。
 
会社員の時期があって老齢基礎年金のほかに老齢厚生年金も支給される場合は、老齢基礎年金だけを繰下げできます。老齢厚生年金だけは従来の65歳を支給開始年齢にして、老齢基礎年金を例えば68歳4ヶ月目からの支給開始にした場合でも、年間で15%以上年金支給額が増加するという試算結果が出るケースもあります。
 
なお、この試算結果は、個人の納付期間や厚生年金の場合は納付した保険料によって変わります。日本年金機構のホームページに登録しておけば、試算結果を5パターンまで比較できます。いろいろなケースを想定しておくと安心でしょう。
 

任意加入も検討してみる

2つ目は任意加入の検討です。60歳までで老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合、老齢基礎年金を満額受給できないケースなど(原則40年間の納付月数で満額受給)で、年金額の増額を希望する場合、60歳以降でも国民年金に任意加入できます。
 
ただし、厚生年金や共済年金に加入している場合は、国民年金に任意加入できません。また、60歳の誕生日の前日から窓口での手続きになります。
 

短期間でもiDeCoの加入、加入済みの場合は増額を

iDeCoがNISAと異なるところは、積み立てている間、社会保険料控除の適用になるため税金を抑えることができる、運用益も非課税であることと、受け取るときも年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象になるという税制面でのメリットです。シニア世代にはありがたいですね。
 
65歳未満であれば加入できます。同じ預貯金の口座に置いておくのであれば、「今使うというわけではない」お金はこちらにシフトさせておくとよいでしょう。また、掛金の増額もできますので、「将来の安心のために」検討するのもよいですね。
 
なお、iDeCoの仕組みは加入者それぞれによって異なりますので、必ず金融機関で確認してください。
 

出典

日本年金機構 ホームページ
iDeCo 公式サイト iDeCoをはじめよう
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者