更新日: 2023.05.31 介護
親の介護にかかる費用は総額580万円!「お金が足りない!」と慌てないために知っておくべきこと
家のローンや子どもの教育費・不測の事態など、出費がかさんでお金が足りなくなった場合に、どのように対応するかを考えたことはあるでしょうか。
今回は、親の介護にかかる費用とその内訳、介護における支援制度について解説します。
親の介護が長期化することもありますので、知っておくと安心でしょう。事前に準備しておけば、介護費用の負担が軽減されることもありますので、参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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介護にかかる費用とその内訳
総額580万円程度といわれる、介護にかかる費用は、公益財団法人生命保険文化センターによる2021年の実態調査の結果をもとに計算されています。
平均的な介護期間は、61.1ヶ月(約5年1ヶ月)。また、月々にかかる介護費用の平均は、8万2700円。介護ベッドや自宅のリフォームなどの一時的に必要な費用は、平均74万4000円のため、以下のような計算になります。
8.27万円×61.1ヶ月+74.4万円=579.697万円(約580万円)
ただし、個人によって介護レベルや介護期間は異なるため、あくまで目安として参考にしてください。
この費用には、以下の介護全般にかかる費用が含まれています。
●医療費
●介護施設の利用代金
●食事代
●オムツ代
●介護ベッド代
●自宅改修費
医療技術の進歩によって平均寿命は延びているため、実際の介護期間が長くなる可能性も視野に入れておきましょう。
知っておくと安心! 介護費用の支援制度
「親の貯蓄や年金では足りない」「自分たちの生活だけで精いっぱい」「介護期間が予想以上に長くなってきた」という場合、介護費用の捻出が厳しくなることもあるでしょう。
そのようなときに活用できる制度について、二つご紹介します。
介護保険制度
「介護保険制度」は要介護・要支援の認定を受けると、介護サービスが介護保険の適用になり、自己負担額が1~3割になる制度です。
自己負担の割合は、本人の年金と、そのほかの所得、同一世帯における65歳以上の人数に応じて決められています。年金とそのほかの所得を合わせて280万円未満の場合は、基本的に1割負担になります。
在宅・施設入居などの介護に関わるサービスには、介護保険が適用されますが、一部適応外で、自己負担が必要になるものもあります。
●食費
●日常生活費(日用品やオムツ代など)
●通所介護時の交通費
●介護を必要としない人が入居対象の施設利用料(住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなど)
また、介護保険で給付される費用には、介護等級ごとに限度額が設定されており、限度額を超える費用は自己負担になりますので、注意しましょう。
高額介護サービス費
介護保険の給付対象者で、1世帯あたりの自己負担が一定額を超えた場合、その金額が市区町村から払い戻される「高額介護サービス費」という制度もあります。
自己負担の限度額は所得によって決められており、一般的な所得の方であれば、負担上限額は4万4400円です。ただし、以下の費用はこの制度の対象外になります。
●ベッドなど福祉用具の購入費用や住宅改修費
●介護施設の生活費(食費・居住費など)
福祉用具や住宅改修費は、介護保険の適用になるため、必要になった場合は、担当のケアマネージャーに相談しましょう。
所得別の負担限度額や、手続きに必要な書類は、各自治体のホームページで確認できます。申請手続きは、お住まいの市・区役所の介護保険窓口でおこなってください。
介護費用の準備はお早めに
介護費用の負担が大きくなると、本人だけではなく家族の生活にも影響してくるため、助成制度の活用のみならず、早めの資産整理が大切です。
銀行預金は原則、家族であっても、名義人以外の者はお金を引き出せません。
本人の判断能力が低下してからでは、銀行からお金を引き出せず、医療・介護費用の工面に苦労して、家族間で費用負担をめぐってトラブルに発展することもあります。
そのため、親が元気なうちに、お金の管理を家族に託すための準備が必要でしょう。あらかじめ、資産運用の目的を決めておくことで、本人や家族がお金を引き出せるようにできる「資産承継信託」というサービスもあります。
また、すでに認知症が始まっている場合には、お金の管理や契約に関することを、家族や法律・福祉の専門家にお願いする「成年後見制度」も活用できます。市区町村や専門職の民間団体に、相談窓口があります。
まずは、日頃から親の様子を気にかけて、体調などの変化があれば、すぐに対応できるようにしておくことが大切でしょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー