更新日: 2023.06.03 定年・退職
【実録】8年勤めただけで退職金が「55万円」! 事前に退職金の額を知ることはできる?
退職金は法律で定められていないため、企業ごとに異なります。本記事では、1社の実例として、勤務年数や掛け金、事業規模などを紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
勤務年数8年3ヶ月、退職金55万8150円
私は先日、正社員で勤めていた会社を退職し、退職金(退職一時金)を得ました。勤務年数は8年3ヶ月、退職金55万8150円です。振り込みは退職月の翌々月5日だったので、さほど待つことなく退職金を手にしました。
会社独自の退職金制度はないため、掛け金を支払っていた中小企業退職金共済(略:中退共)から振り込まれました。「独立行政法人勤労者退職金共済機構」ともいいます。
退職金の制度がある企業は75.5%
【図表1】
厚生労働省 平成25年就労条件総合調査結果の概況:結果の概要(4 退職給付(一時金・年金)制度)を基に筆者作成
退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は、企業規模が大きいほど高くなります。従業員1000人以上で93.6%、300~999人で89.4%、100~299人で82.0%、30~99人で72.0%です。よほどの小規模の企業でなければ、退職金は支払われることが多いといえます。
【図表2】
厚生労働省 平成25年就労条件総合調査結果の概況:結果の概要(4 退職給付(一時金・年金)制度)を基に筆者作成
支払い準備形態は「社内準備」が最も多く64.5%、次いで多いのが中小企業退職金共済制度(以下、中退共)46.5%(複数回答)です。中退共の掛け金は月額で2000円~3万円と幅広く、企業の懐具合によって従業員がもらえる退職金はかなり差が出ます。
中退共の掛け金は途中で増額や減額が可能なので、おそらく企業は業績に応じて変えるのでしょう。私が勤めていたのは従業員100人程度の企業で、掛け金は5000円でした。これが、相場から見て多いのか少ないのか、私には分かりません。
勤続年数の計算方法は企業ごとに異なる
退職金は法律がないので、金額の根拠となる勤続年数の計算方法は企業によってさまざまです。社歴が同じであっても、以下のような期間があると勤続年数は人ごとに異なります。
・産前産後休暇の期間
・育児休業の期間
・非正規雇用の期間
・出向中の期間
・介護休業の期間
・試用期間
・疾病や個人の事情による休職期間
企業は就業規則に付随する「退職金規定」で、これらを設定しています。
事前に退職金の額を知る方法
事前に退職金の額を知る方法を3つ紹介します。
就業規則や雇用契約書を確認する
中退共のホームページで試算する
上司に確認する
順に説明します。
就業規則や雇用契約書を確認する
会社が独自の退職金制度を設けているなら、就業規則や雇用契約書に記載があるはずです。退職金を従業員に支払うことは企業の任意となっています。
退職金制度自体がない企業はたくさんありますが、まずは自分の勤める会社の規則がどうなっているか確認しましょう。
中退共のホームページで試算する
会社が中退共に加入している場合、中退共のホームページのシミュレーション機能で試算できます。単純に「掛け金×勤務期間」で決まるものではなく、年ごとに細かく計算されます。
退職金 = 基本退職金+付加退職金
基本退職金:掛け金月額による
付加退職金:運用収入による。年ごとに異なる
シミュレーション機能を使えば簡単に試算できますが、付加退職金の煩雑さや助成金などもあり、正確な計算にはなりません。あくまでも目安と考えるのがよいです。
そもそも掛け金を知らない場合は、上司に掛け金をたずねるか、総務などで「被共済者番号」を確認し、中退共に電話で問い合わせる方法があります。
上司に確認する
上司に確認する方法もあります。しかし、退職金の総額を確認すると、退職の予定があるのかと思われるおそれがあるため、掛け金や計算方法を確認するとよいでしょう。
就業規則や雇用契約書を確認しよう
自分が勤める会社の退職金制度がどうなっているのか確認するには、何より就業規則や雇用契約書の確認が大事です。
・自分の雇用形態で退職金が出るのか
・退職一時金なのか年金なのか
・勤続何年目から退職金が支給されるのか
・自社独自の制度なのか共済に加入しているのか
・掛け金はいくらか
・各種休暇は勤続年数に含むのか
これらを確認しておきましょう。
出典
厚生労働省 平成25年就労条件総合調査結果の概況:結果の概要(4 退職給付(一時金・年金)制度)
独立行政法人 勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部 退職金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー