60歳時点での「退職金」って平均いくら? 退職金があれば年金だけで生活できる?

配信日: 2023.06.22

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60歳時点での「退職金」って平均いくら? 退職金があれば年金だけで生活できる?
企業により異なるものの、60歳は定年退職の一つの基準となります。老後の生活も見据え、60歳を機に退職する人は少なくないでしょう。退職する際に気になるのが、「退職金」です。
 
受け取れる退職金額も企業や個人によって異なり、その実態を知らない人も多くいるでしょう。本記事では、60歳時点での退職金額の平均や、退職後の生活において、特にお金の面に着目しながら解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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学歴や職種によって異なる60歳時点での退職金

退職金額は、さまざまな要素により決定されます。そのなかで、特に差が生じやすい学歴や職種に着目し、60歳時点での平均退職金額についてみていきましょう。
 

大卒者の退職金は2000万円超

一般社団法人である日本経済団体連合会の「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」から、大卒者の退職金額が把握できます。
 
これによると、大卒者で「管理・事務・技術労働者(総合職)」として働いていた人の60歳、勤続38年の平均退職金額は2243万3000円です。ちなみに、これは、大学卒業後すぐに入社し、標準的に昇進・昇格した「標準者」を対象とし、かつ会社都合による退職者に支払われる金額です。
 
また、厚生労働省の外局である中央労働委員会の「令和3年賃金事情等総合調査」では、モデル退職金額が公表されています。これによると、大卒者で「事務・技術(総合職)」として働いていた人の60歳時点での退職金モデルは、2528〜2606万円ほどです。
 
やはり、会社都合かつ標準者の退職金モデルとなっています。こうした調査から、大卒者の60歳時点での退職金は、2200〜2600万円ほどが相場となるでしょう。
 

高卒者は1000万円台後半

日本経済団体連合会の調査結果によると、高卒者で「管理・事務・技術労働者(総合職)」として働いていた人の60歳時点での平均退職金額は、1953万円でした。高卒者のため、勤続年数は42年となっています。
 
また、高卒者で「生産・現業労働者」として働いていた人の平均退職金額は、1782万円です。中央労働委員会の退職金モデルもみてみましょう。
 
これによると、高卒の「事務・技術(総合職)」では、1925〜1934万円ほど、「生産」の職種で働いていた人では、1600万円台となっています。高卒者は、同じ会社で働き続け、かつ会社都合で退職したとしても、60歳時点での退職金額は1000万円台後半が相場となりそうです。
 

退職金と年金のみで生活は可能か

では、実際に60歳で退職した場合、退職金と年金のみで生活できるのかを考えてみましょう。
 

高齢者世帯の所得状況

厚生労働省の「2021年 国民生活基礎調査の概況」によれば、高齢者世帯の所得のうち「公的年金・恩給」は1世帯あたり年間207万4000円が平均となっています。高齢者世帯の総所得は平均で300万円を超えているものの、年金だけでは、年間200万円程度の収入にとどまる可能性があるとみておく必要があるでしょう。
 

60歳以上の世帯の消費支出

総務省統計局の「家計調査(二人以上の世帯)2023年(令和5年)4月分」で、高齢者世帯の消費支出もみてみましょう。
 
世帯主が60〜64歳で二人以上の世帯のうち無職世帯において、1ヶ月あたりの消費支出は約33万3000円となっています。同じく65〜69歳では約30万9000円、70〜74歳では約25万9000円、75〜79歳では23万6000円です。
 
退職後、消費支出が毎月25万円程度としても、年間では約300万円必要になる計算となります。80歳までの20年間では、単純計算で6000万円必要です。年金収入が、仮に年間200万円程度となれば毎年100万円の赤字で、80歳までの20年間で2000万円足りない計算となります。
 
退職金は2500万円ほどが平均と考えれば、それと年金で80歳程度まで生活するのは無理ではないものの、決して楽な生活とはならないでしょう。
 

60歳で退職すると退職金と年金だけでは楽な生活は送れない可能性が高い

60歳時点で受け取れる平均退職金額は、大卒者であれば2200〜2600万円ほど、高卒者であれば1600〜1900万円ほどとなります。この金額は、学校を卒業後、すぐに入社した会社でそのまま働き続けたケースです。
 
また、高齢者世帯が受け取れる平均年金額は、年間200万円程度です。消費支出が年間で300万円程度とすれば、長生きするほどに退職金と年金では生活にゆとりがなくなると想定できます。退職を先延ばしにするなど、なんらかの対応が必要です。
 

出典

一般社団法人日本経済団体連合会 2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果
中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査 令和3年退職金、年金及び定年制事情調査 調査結果の概要
厚生労働省 2021年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況
総務省統計局 家計調査家計収支編 二人以上の世帯 2023年(令和5年)4月分 第3-2表 無職
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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