更新日: 2023.06.22 定年・退職

65歳でも働き続ける人は「約50%」! 仕事ではお金より「社会とのつながり」が重要?

65歳でも働き続ける人は「約50%」! 仕事ではお金より「社会とのつながり」が重要?
現役世代として働いている人の中には、定年退職後には自分の好きなことをして生きようと考えている人も多いと思います。ただし、実際には65歳以上でも働いている人の割合は年々増加しており、2021年に65~69歳でその割合は50%を超えました。高齢者で働いている人は、働いていない人よりも生きがいを感じているという結果もあります。定年退職後には、新たな働き方を見つけることもおすすめです。
御手洗康之

執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)

CFP、行政書士

65歳以上の4人に1人が働いている

総務省統計局が発表している「労働力調査」によると、65歳以上で働いている人の割合は年々増加しています。図表1は2022年の65歳以上の就業率を表しています。65歳以上の高年齢者のうち、65~69歳で働いている人の割合は50.8%、65歳以上の全体を見ても25.2%(いずれも男女合計)の人が働いており、65歳全体では4人に1人、65歳~69歳では2人に1人は働き続けていることが分かります。
 
図表1 2022年の65歳以上の就業率
 

 
総務省統計局 労働力調査年報を基に筆者作成
 
65歳以上の人がこれだけ働きつづけている要因の1つに、2021年4月から「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」が改正されたことがあげられます。これにより、65歳までの雇用確保が義務とされ、70歳までの就業確保が努力義務とされるなど、65歳以降でも働きやすい環境が整備されました。将来的には、高年齢者の就業率がさらに増加すると予想されます。
 

現実的には給与減になる可能性が高い

ただし、働き続ける環境が整ってきたとしても、現実的には給料が減るという人は多いはずです。大幅な賃金の低下を防ぐために、高年齢雇用継続給付のような労働保険の仕組みも整備されています。
 
高年齢雇用継続給付とは、60歳になって大幅に賃金が低下(60歳時点の賃金の75%以下)したときに一定額が支給される制度です。このような救済措置があるとはいえ、基本的には給料が下がることを覚悟しておいたほうがよいでしょう。
 

社会活動をしている人のほうが生きがいを感じている

内閣府が発表している「高齢社会白書」によれば、生きがいを「じゅうぶん感じている」「多少感じている」人の割合は、労働などの社会活動に参加している人では84.7%ですが、していない人では61.7%と20%以上の差があります。
 
年齢が上がるにつれて、働く理由も多様化する傾向があり、「収入がほしいから」から「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を生かせるから」「働くのは体によいから、老化を防ぐから」といった理由が増えてきます。
 
これらを踏まえると、老後の充実した生活につなげるためには、単にお金のためだけに働くのではなく、自分自身の経験や知識を還元しながら社会とつながりをもち続けることが重要だといえそうです。
 
65歳以上になっても収入を得ることができれば、年金のみに頼る必要がなくなり、年金の繰下げ受給といった選択ができるかもしれません。そうなれば老後の生活は一層安心できるものになります。もうすでに、65歳以上でも可能な範囲で働き続けるというのが主流になりつつあるのかもしれません。
 

出典

総務省統計局 労働力調査(基本集計) 2022年(令和4年)平均結果の概要

厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版) 3 社会活動等への参加について

 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

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