更新日: 2023.06.27 セカンドライフ

老後の収入は現役時代の「60%」にダウン!?「年収600万円」の世帯が豊かな老後のために必要な貯金額を検証

老後の収入は現役時代の「60%」にダウン!?「年収600万円」の世帯が豊かな老後のために必要な貯金額を検証
年金生活になると現役時代より収入が減る傾向にあります。できれば年金生活に入っても今までと同じ生活水準で暮らしたいと思う人も多いでしょう。本記事では、年収600万円世帯を基準に、老後も豊かな生活を送るためにはいくら貯金が必要か、試算します。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。

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豊かな老後には3600万円が必要

豊かな老後を送る定義として、ここでは「現役時代と同じ水準で生活を送れること」と設定します。まず、現役時代の年収から「手取り額」を算出。次に将来受け取るおおよその「年金受給額との差額」を導き、85歳までの20年間に必要な老後資金を求めます。
 
2019年に金融庁が公表した報告書で、老後2000万円問題が話題になりました。この公表では高齢夫婦無職世帯で毎月約5万円の赤字が生じ、老後の30年間で約2000万円もの生活費が不足すると試算されました。
 
したがって、一般に知られている平均的な生活費としての老後2000万円問題と、今回の「豊かな」老後資金は計算式が大きく異なります。以下で詳しく見ていきましょう。
 

年収600万円世帯の手取り額は約450万円

手取り額がいくらになるかは、年収に「給与所得控除」や「基礎控除」、「所得控除」などが関わってくるので、人によって異なります。そのため、年収に対して、おおよその目安で手取り額を算出していきます。
 
手取り額の目安は「年収×0.75~0.85」となり、 基礎となる計算方法は次のとおりです。
 
手取り額=年収-社会保険料(健康保険・介護保険+厚生年金+雇用保険)-所得税-住民税
 
この計算式が基礎となり、これに「所得控除」や「税額控除」などで調整することで手取り額は変動します。今回は、年収×0.75で計算した金額で設定します。その場合の手取り額は450万円(600万円×0.75)です。月に換算すると37万5000円です。したがって、37万5000円が豊かな老後に必要な生活費となります。
 

将来の年金受給額の平均は約22万5000円

次に、将来の年金受給額を見ます。日本年金機構の発表では、2023年度の老齢厚生年金受給額の平均は、月額約22万4000円(夫婦2人分)です。年収600万円の人からすれば、現役時代の60%まで収入が減ることになります。今まで37万5000円で生活していた人からすると生活が苦しくなると感じる人もいるかもしれません。
 

85歳までの20年間で試算

前述で計算した月の手取り37万5000円から年金受給額22万5000円を差し引くと15万円となります。年間にすると180万円の不足が生じます。 それを65歳から85歳までの20年間で計算すると、180万円×20年=3600万円です。3600万円が豊かな老後に必要な資金となります。
 

資産運用なども視野に入れて、早めに老後資金の準備を始めよう!

豊かな老後生活とは、「現役時代と同じ水準で生活を送れること」と定義した場合、年収600万円の人であれば、65歳から85歳までの20年間で3600万円の資金が必要です。3600万円が必要と聞いて、かなり厳しいと感じる人もいるかもしれません。
 
必要な資金を用意するためには、なるべく早い時期から準備を始めることが重要です。対策として、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「個人年金保険」「少額投資非課税制度(NISA)」などを活用して少しでも目標に近づけるよう努めましょう。
 
どのような方法を選んで準備をするか悩んでしまう人は、ファイナンシャル・プランナー(FP)などお金の専門家に相談するのも選択肢の1つです。
 

出典

国税庁 No.2260 所得税の税率

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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