更新日: 2023.06.30 その他老後
みんな本当に老後資金を「2000万円」貯めてるの!? 足りない場合はどうすればいい? 貯蓄方法も解説
一般的な世帯収入の人であれば、2000万円もの貯蓄は大きなハードルとなる場合がほとんどであり、漠然とした不安に駆られることもあるのではないでしょうか。
本記事では、老後2000万円問題について解説します。実際のところ、世間の人々はためているのでしょうか。また、これからどうためていくとよいのかも紹介します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
「2000万円」は何の金額か
「2000万円」という金額は、高齢夫婦2人が標準的な生活を送った場合に毎月不足する金額約5万5000円(図表1参照)の30年分(約1980万円)からきています。つまり、現役を引退して年金収入が主となったあと30年生きるとすると、2000万円は自分で準備しておく必要があり、それを「老後2000万円問題」と呼んでいます。
図表1
厚生労働省年金局 iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題
60歳代の貯蓄平均額は2251万円
総務省統計局の家計調査報告によると、60歳代の2人以上の世帯における貯蓄平均額は2251万円(貯蓄2458万円-負債207万円)という結果になっています(図表2参照)。
図表2
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)
この結果を見ると、みんな難なく「老後2000万円問題」を解決しているように思えるかもしれません。では次に、2人以上の世帯における世帯主が65歳以上の貯蓄額を示した図表3を見てみましょう。
図表3
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)
貯蓄平均額は2414万円、中央値は1677万円となっており、さらに2500万円以上ある世帯は全体の34.2%となっており、約3分の1を占める結果となっています。一方で、1800万円以下の世帯は全体の54.3%、300万円未満の世帯は14.4%です。
「65歳」ではなく、「65歳以上」のくくりとなっているため、老後資金を使った上での金額である人も多く含まれてはいますが、誰もが老後2000万円問題を解決して老後を迎えているわけではないことが分かります。
2000万円ためられなかったらどうなる?
老後資金が準備できなかった場合は、どうにかして収入を得るしかありません。仕事を選択できる状況であればよいですが、高齢になるとできる仕事はどうしても限られてくる場合が多く、長時間労働しなければならない可能性もあります。ゆっくりと老後を過ごすことは難しくなるでしょう。場合によっては生活保護も検討する必要があります。
2000万円ためるには早期にライフプランを立てることが重要
65歳時点で2000万円の貯蓄は、単純計算で35歳から月5万5000円の貯蓄を30年間続ければ1980万円となり、達成できます。30歳からでは月5万円貯蓄すれば2100万円となります。収入状況によりますが、「絶対無理」という金額ではないでしょう。
しかし、30歳代から老後資金を計画的にためているという人は少数派でしょう。老後を現実的に考え出す40歳代、子育てが一段落したと思ったら老後が目の前に迫っている50歳代でようやく危機感を覚えるという人も多いのではないでしょうか。
会社員であれば退職金があるという人も多いかと思います。退職金のある会社に勤めている場合、まずはその金額を確認しましょう。不足する部分は貯蓄が必要です。40歳代であれば個人型確定拠出年金(iDeCo)や少額投資非課税制度(NISA)での運用も検討してみましょう。
50歳代は時間がないため、まずは生活水準を見直して貯蓄を少しでも増やします。そして、定年退職後も働ける先を、現役としての経験値が最高潮に達している今だからこそ探し始めておくのもおすすめです。
老後2000万円問題は数年で解決できるものではありません。問題に気が付いた今からできる準備を始めましょう。
出典
厚生労働省年金局 iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士