更新日: 2023.07.08 セカンドライフ
40歳からでも「老後2000万円」は用意できる? 年率3%で運用した場合を検証
実際に2000万円を資産運用で得たい場合、1ヶ月にいくらずつ、何年間積み立てればよいのでしょうか。
本記事では40歳から定年退職する60歳まで積み立てを行うと仮定し、検証してみました。投資のポイントや、注意点についても解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ファイナンシャル・プランナー
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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
目次
大きな問題となった「老後2000万円問題」
2019年、金融庁の「金融審査会市場ワーキング・グループ報告書」を発端に「老後2000万円問題」が大きな話題となりました。報告書には、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入と実支出が書かれています。
実収入20万9198円に対して、実支出は26万3718円、足りない分は貯蓄等で対応するとあり、高齢夫婦無職世帯の平均純貯蓄額は2484万円だと表示されています。毎月不足する5万4520円を30年間補填(ほてん)すると考えると、約2000万円(1962万7200円)が必要です。
この報告書は、老後は年金で生活できると考えていた多くの国民から批判され、大きな問題となりました。年金制度に対する不満が噴出した結果、当時の麻生太郎金融相は正式な報告書として受け取らないと表明。
この報告書は、高齢社会における金融サービスのあり方など、国民の安定的な資産形成についての議論をまとめたものでしたが、資産形成の必要性が国民に伝わらないまま撤回されてしまいました。
老後2000万円を得るために40歳から積み立てを開始した場合
報告書は撤回されましたが、老後の備えが大切であることが国民に少なからず認識されたと思います。では、老後資金の2000万円を資産運用で得たい場合、1ヶ月にいくら積み立てれば良いのでしょうか。
40歳から60歳の定年までの20年間、年率を3%で運用すると仮定して、金融庁の資産運用シミュレーションで検証してみました。1ヶ月に5万円を20年間積み立てると、最終積立金額は1641万5100円となり、2000万円には足りません。
同条件で6万円積み立てた場合の最終積立金額は1969万8120円です。
報告書で不足分とされた金額は正確には1962万7200円なので、月に6万円を運用に回せば老後の資金を確保できる可能性があると考えてよいでしょう。
老後に必要な資金を正確に把握することが大切
まずは、自分の老後のライフスタイルや受け取れる年金額などを確認し、老後に必要な資金を正確に算出することが大切です。子どものいる世帯では40代以降は子どもの成長と共に消費支出が増える世帯にも多いと考えられるため、毎月6万円を資産運用に充てるのは難しいと感じるかもしれません。
しかし、実際に計算してみると、6万円よりも少ない額の積み立てで老後資金を賄えるという可能性もあります。積み立て投資は中長期的に行うことで複利効果が大きくなるほか、運用の期間が長いほどリスクを減らせる傾向があります。
理想の金額に足りなくても、資産運用に回せる金額内で、できるだけ早めに始めることで老後の資金を増やすことが可能です。
自分に必要な老後資金を算出し、無理のない資産運用を
老後の資金約2000万円を40歳から60歳までの20年間、資産運用で得ようとする場合、年率3%と仮定すると1ヶ月に約6万円の積み立てが必要です。
ただし、毎月6万円を資産運用に回すのは難しいという人も多いでしょう。ライフスタイルによっては必ずしも2000万円が必要でないケースもあります。
投資にはリスクもあることにも注意しながら、積み立てをスタートする前に本当に必要な老後の資金額を算出し、無理のない金額で投資を始めると良いでしょう。
出典
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
金融庁 NISA特設ウェブサイト 投資の基本
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー