更新日: 2023.07.28 セカンドライフ
41歳、独身・子なしの会社員。老後は優雅に「おひとりさま」になるつもりですが、老後資金はいくら必要ですか?
婚姻率の低下について報道されることも増えてきた昨今、おひとりさまという老後の生き方の選択も今後は増加していくでしょう。そこで、老後におひとりさまとして優雅な生活を送るための老後資金について考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
単身者の老後の平均的な生活費はどれくらい?
総務省の家計調査(令和4年)によれば、65歳以上の単身無職世帯での1ヶ月当たりの支出(消費支出と非消費支出の合計)は平均で15万5495円です。
図表1
出典:総務省統計局 「家計調査報告(家計収支編) 2022年(令和4年)平均結果の概要」
食費や居住費などを含む消費支出は、平均で月14万3139円となっています。地域やライフスタイルによる部分もあるとは思いますが、平均的な支出から考えると、おひとりさまの老後では月15万円から16万円程度の生活費は必要といえます。
なお、参考までに65歳以上の夫婦2人世帯では、毎月の支出の合計は平均で26万8508円となっています。
図表2
出典:総務省統計局 「家計調査報告(家計収支編) 2022年(令和4年)平均結果の概要」
ゆとりある老後を過ごすために必要な生活費は?
老後の生活で食事にこだわったり、趣味を充実させたり、旅行を楽しんだり、豊かに過ごしたいという場合、それなりに支出は増えることになります。
公益財団法人 生命保険文化センターが行った調査(令和4年度)によれば、夫婦2人がゆとりある老後を送るために必要な生活費は、1ヶ月当たりの平均で37万9000円となっています。
上記はあくまで夫婦2人を対象とした調査結果による平均であり、老後の最低日常生活費(月額平均23万2000円)と、ゆとりある生活のために必要と考える上乗せ分(月額平均14万8000円)を合計したものですが、おひとりさまが老後を満喫するための生活費の参考にもなるでしょう。
おひとりさまが用意しておく老後資金は?
老後の生活を支える主な収入源に、老齢年金があります。令和3年度末での老齢厚生年金の平均受給額は、老齢基礎年金も含めて月額14万3965円です。
平均額の年金を受け取れたとしても、前述した65歳以上の単身無職世帯での平均的な支出(15万5495円)を生活費の目安と考えた場合、年金収入だけでは毎月1万円程度の不足が発生し、それを補てんするための老後資金が必要になります。
65歳から年金を受け取り、90歳まで生きると仮定すると、生活費の不足分は年間で約12万円、25年間では約300万円です。65歳までに貯金などで300万円程度の老後資金を準備できれば、年金と合わせ、おひとりさまとして老後の最低限の生活費を賄うことはできそうです。
さらに余裕をもって、夫婦2人の高齢者無職世帯での平均的な支出である月27万円程度の生活費が必要という場合、年金収入だけでは約13万円が不足します。同じく老後を90歳までと考えると、このケースでは25年間で約3900万円の老後資金が必要になります。
このへんの金額になってくると、保有する金融資産や年収によっては、41歳から準備しても65歳までに間に合わない可能性が出てくるため、老後も働くことを検討する必要があるかもしれません。
おひとりさまを満喫するなら必要な老後資金は早めに考えておくべき
老後資金として必要な金額は、将来受け取れる目安の年金額と、老後に想定される毎月の支出から大まかに算出できます。
あくまでも現時点の状況などから試算した老後資金となるため、必ずしもその金額があればゆとりがある老後の生活を送れるとは限りませんが、備えがあれば将来への不安が少なくなるのも事実です。
おひとりさまで老後の生活を満喫したいと考えるのであれば、計画的な老後資金の準備を早めに始めておくことをおすすめします。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2022年(令和4年)平均結果の概要
公益財団法人 生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:柘植輝
行政書士