更新日: 2023.08.31 定年・退職

退職金の見込みは「1600万円」です。勤続30年ですが少ないでしょうか? 平均はどの程度ですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

退職金の見込みは「1600万円」です。勤続30年ですが少ないでしょうか? 平均はどの程度ですか?
企業で働き続け、退職するときに受け取れることもある退職金ですが、その金額は企業ごとに大きく異なります。また、勤続年数によっても金額は異なるでしょう。一般的には、勤続年数が長くなるほど受け取れる退職金の額も増加します。
 
今回は、勤続30年で退職金を1600万円受け取れる場合、平均と比べて多いのか少ないのかについて統計データをもとに解説します。
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勤続30年だと退職金はいくらもらえる?

厚生労働省が実施している「就労条件総合調査」では、5年に一度、退職給付についての調査も実施し、結果を公表しています。ここでは、2018年の就労条件総合調査結果をもとに、勤続30年の人の退職金について見てみましょう。
 

学歴や退職事由により異なる退職金額

退職金の額は、企業や個人の状況により大きく異なります。学歴や退職事由によっても異なるため、各データをもとにそれぞれの状況における退職金額を見ていきましょう。
 
勤続20年以上かつ45歳以上の退職者のデータは、大学や大学院を卒業した「管理・事務・技術職」に就いていた人の場合、定年退職では平均で1983万円の退職金が支給されています。会社都合の場合では2156万円、自己都合では1519万円でした。
 
高卒で「管理・事務・技術職」に就いていた場合、定年退職では1618万円、会社都合では1969万円、自己都合では1079万円です。やはり、大学・大学院卒の人と比べると低くなっています。高卒で「現業職」だった場合は、定年退職で1159万円、会社都合で1118万円、自己都合で686万円です。
 
勤続年数について、さらに細かなデータも見てみます。勤続年数30~34年の人で、大学・大学院卒かつ「管理・事務・技術職」だった人の平均退職金額は1794万円でした。
 
高卒で「管理・事務・技術職」だった人は928万円、高卒で現業職だった人は814万円となっています。勤続30年で退職金1600万円は、大学・大学院卒の場合、職種にもよりますが、平均よりも少ないといえるでしょう。
 

日本経済団体連合会の調査結果

一般社団法人日本経済団体連合会の実施している「退職金・年金に関する実態調査」の結果も見てみましょう。2021年9月度の調査結果によると、大卒者で「管理・事務・技術労働者」だった場合、勤続30年での平均退職金額は、約1649万円という結果でした。
 
高卒者で「管理・事務・技術労働者」だった場合は、約1162万円です。なお、高卒者で「生産・現業労働者」だった場合は、約1166万円となっています。同調査のデータは、いずれも会社都合による退職に伴う退職金の平均支給額です。同調査結果を参考にすれば、勤続30年で退職金1600万円は、大卒者であれば平均的か、やや少ない程度といえるでしょう。
 

退職金制度のない企業は約20%

厚生労働省の「2018年 就労条件総合調査」の結果によると、そもそも退職金制度のある企業は80.5%となっています。
 
事業規模や業界ごとに制度の有無についての割合には差があるものの、全体で見れば20%ほどは退職金制度そのものがない状況です。勤続30年で退職金1600万円は、データをもとに見れば決して多いとはいえません。しかし、退職金を受け取れるという点では恩恵を受けているといえるでしょう。
 

勤続30年で退職金1600万円は多くはないが退職金制度の恩恵は受けている

統計データを見ると、退職金額は学歴や退職事由、職種などにより大きく異なります。勤続30年の場合、大卒者であれば平均で1600万~1800万円ほど受け取れるでしょう。1600万円は平均と同程度か、やや少ないといえます。
 
一方で、退職金制度のない企業も全体の20%ほどあるというデータもあります。退職金が受け取れる現状を考えると、それのみでもいくらかの恩恵は受けているといえそうです。
 

出典

厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 結果の概況
一般社団法人 日本経済団体連合会 2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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