更新日: 2023.09.04 その他老後

生活保護があるなら老後資金の準備はいらないは本当? 生活保護を受けることによるデメリットはないの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

生活保護があるなら老後資金の準備はいらないは本当? 生活保護を受けることによるデメリットはないの?
生活保護制度とは、さまざまな事情で生活に困窮している人に対して、困窮の程度に応じて必要な保護を行うセーフティーネットです。健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている制度で、困窮している人にとって「最後の手段」となっています。
 
資産と収入がない人を支援するための制度ですが、一方で年金を受給できる年代である65歳以上の高齢者のなかにも、生活保護を受給している人がいます。
 
本記事では、高齢者と生活保護制度の関係性などを解説していきます。
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年金生活だけでは生活が苦しい高齢者が多い

内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、令和元年における65歳以上の生活保護受給者は105万人でした。65歳以上人口に占める生活保護受給者の割合は2.93%となっており、「約100人に3人の高齢者」が生活保護を受給しています。
 
なお、生活保護には経済状況に応じて扶助を行う内容が異なり、下記の8種類に分かれています。
 

・生活扶助:日常生活費用を補助
・住宅扶助:家賃を補助
・教育扶助:教育費用を補助
・医療扶助:医療サービスの費用を補助
・介護扶助:介護サービスの費用を補助
・出産扶助:出産費用の補助
・生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用を補助
・葬祭扶助:葬祭費用を補助

 
65歳以上になると公的年金が受給できますが、そのなかでも生活保護を受給している理由として考えられるのが、「年金だけでは生活できないから」です。また、高齢になればなるほど体力と判断能力が衰えることから「働いて稼ぎたい」と思っても、なかなか就職できずに困窮してしまう可能性も考えられます。
 
「令和4年版高齢社会白書」によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、公的年金・恩給が家計収入の全てとなっている世帯が約半数に及んでいます。また、厚生労働省の令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、老齢年金の平均受給額は約14万円、国民年金だけしか受給できない場合の平均受給額は6万円弱という結果でした。
 
年金収入よりも生活費のほうが高く、また十分な貯蓄ができていない高齢者世帯は、生活保護に頼らざるを得ないのが実情といえるでしょう。
 

高齢者が生活保護を受給するデメリット

経済的に厳しく、健康で文化的な生活を送ることができないとき、生活保護を申請して状況の改善を図ることになります。
 
高齢者が生活保護を受給するにあたってデメリットがあるため、事前に確認しておきましょう。
 

価値のあるモノがあると申請できない

価値のあるモノがあると、そもそも生活保護を申請できません。生活保護は世帯単位で行い「世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提」です。
 
そのため、もし高価なモノや自動車を所有している場合、現金化して生活費に充てることになります。もし高価なモノや自動車を手放す意思がない場合、生活保護の申請はできません。
 

家族・親戚にバレる

生活保護を申請するにあたり、家族や親戚に「困窮していること」がバレてしまいます。市区町村の担当者は、生活保護を受給するか審査する過程で、家族や親戚に対して「扶養できないか」確認するためです。
 
生活保護を申請した事実は家族や親戚に伝わってしまうことから、「家族にバレたくない」と考えている方は要注意です。
 

生活が制限される

生活保護を受けるにあたって、生活にさまざまな制限を受ける点は知っておきましょう。例えば、生活保護の受給額に応じたアパートや公営住宅などへの転居が求められるため、住む場所が制限されます。また、ケースワーカーから受け取った生活保護費を娯楽費用として使わないように指導されるため、お金の使い方に関しても制限を受けます。
 
自分で稼いだお金であれば、自由に使っても問題ありませんが、生活保護費は制度の性格上、最低限の生活に使うためのお金なので自由に使えません。生活保護費をやりくりしたうえで、娯楽を楽しむ分には問題ありませんが、場合によってはケースワーカーから指導を受ける可能性がある点には注意しましょう。
 

まとめ

生活保護を受けることで、生活に制限を受けるなどのデメリットがありますが、生活保護を受給すること自体は悪いことではありません。生活保護は、経済的に苦しい人の自立を助長するためのセーフティーネットとして、国の福祉制度のなかでも重要な存在です。
 
将来年金だけで生活できる保証がない方にとっては、「本当に苦しいときは生活保護を検討する」という選択肢があることを知っておくことは重要です。
 

出典

内閣府 令和4年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
※2023/9/4 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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