更新日: 2023.09.16 セカンドライフ
65歳で貯金1000万円、年金は「月15万円」もらえます。働かなくても生活できますか? 15万円では少ないでしょうか?
貯金額や受け取れる年金額は人それぞれですが、今回は65歳時点で貯金が1000万円あり、年金を毎月15万円もらえる世帯が生涯働かなくても大丈夫なのか解説しています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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65歳から何年間生きるのか
年金は一生涯もらえますが、人は生きている限りお金がかかります。まずは65歳から平均で何年間、生きられるのか見ていきましょう。
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、平均余命は65歳男性で19.44年、女性で24.30年です。平均すると、男性の場合は65歳以降20年ほど、女性の場合は約25年、年金を受け取りながらの生活が続くということです。
老後に必要な生活費
総務省の「家計調査報告 家計収支編2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯において、単身の場合は月額15万5495円、夫婦のみの場合は月額26万8508円が生活費の平均です。
もちろん平均なので、持ち家かどうかや生活水準などによって大きく状況は異なりますが、今回はこの金額を基準とします。
単身者で毎月15万円の年金をもらえる場合
単身者では毎月必要なお金が15万5495円ですので、年金で受け取る15万円との差額=毎月の赤字額は5495円です。そして、赤字が生涯同じ額だとすると、男性の場合は生涯で131万8800円、女性は164万8500円が生涯の赤字額です。
つまり、65歳時点で1000万円の貯蓄があれば、十分対応が可能と言えます。
夫婦で毎月15万円の年金をもらえる場合
夫婦で毎月必要なお金は26万8508円ですので、年金で受け取れるのが15万円だと、毎月11万8508円が赤字額です。
平均余命を見ると、夫婦の年齢が同じ場合、先に夫が亡くなり、その後5年間は要件を満たせば妻が夫の遺族年金と自身の年金を受け取ります。ただ、遺族年金の計算はやや複雑なため、今回は夫婦ともに20年間または25年間生きたとして計算します。
赤字額の合計は、65歳から20年間生きた場合は2844万1920円、25年間では3555万2400円です。この結果、夫婦で毎月15万円の年金では、貯蓄が1000万円あっても働かずに生活することはかなり難しいと言えます。
夫婦で毎月15万円の年金はどのような場合?
夫婦で年金が毎月15万円というのは、少ないと感じる人もいるかもしれません。夫婦でもらえる年金が合わせて15万円ということはどのような場合でしょうか。
日本年金機構の「令和5年4月分からの年金額等について」によると、夫婦二人分の標準的な年金額は、あわせて22万4482円です。つまり、夫婦で毎月15万円は標準を下回っています。
ちなみに、この標準的な年金額の22万4482円と、夫婦で毎月必要なお金の平均の26万8508円の差額を貯蓄で補う場合、20年間生きた場合は1056万6240円、25年間では1320万7800円必要です。標準的な世帯で1000万円の貯蓄があれば、65歳以降働かなくても絶望的とは言えない程度の差額かもしれません。
しかし、夫が自営業者で妻が専業主婦の場合など、夫婦ともに国民年金にしか加入していない場合、もらえる年金は夫婦合わせて満額でも13万2500円です。そのため、夫婦合わせて標準額を下回り、15万円に満たない年金額でも全く不思議ではありません。
もちろん、自営業者であれば会社員以上に老後も長く働ける場合も多いです。しかし、もしも65歳以降働かない場合、事前に貯蓄を十分にしておいたり、個人年金保険に入ったりして、資金を確保するようにしておきましょう。
出典
厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況
総務省 家計調査報告〔 家計収支編〕 2022年(令和4年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー