更新日: 2023.09.19 その他老後

60代の「貯蓄額」「年金受給額」「退職金」の平均とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

60代の「貯蓄額」「年金受給額」「退職金」の平均とは?
子どもが成人して、子育ても一段落した頃に考えなければならないのは、老後の生活費です。
 
今回は、60代の平均貯蓄額と老後の収支平均額、年金受給額と退職金の平均額について紹介します。「老後2000万円問題」という言葉から目を背けずに、老後の必要資金と正しく向き合いましょう。
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定年退職前後の60代の平均貯蓄額

どんなに仲のよい友人でも、お互いの貯蓄額について話すことは難しく、自分の家の貯蓄が多いのか少ないのかは、判断しにくいものです。金融広報中央委員会によると、60代の金融資産保有額は、以下のようになっています。
 
表1:金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む、60代のみ抽出) 

総数 1022世帯
金融資産非保有 20.8%
100万円未満 6.1%
100~200万円未満 5.5%
200~300万円未満 3.3%
300~400万円未満 3.2%
400~500万円未満 3.4%
500~700万円未満 5.3%
700~1000万円未満 6.1%
1000~1500万円未満 8.6%
1500~2000万円未満 5.7%
2000~3000万円未満 8.8%
3000万円以上 20.3%
無回答 2.9%
平均 1819万円
中央値 700万円

※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」をもとに筆者作成
 
この金融資産非保有世帯について、預貯金の残高合計は1149万円です。
 
また、表1の「平均」値1819万円について、金融商品保有額の内訳を紹介します。
 
表2:種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む、60代のみ抽出)

預貯金(運用または将来の備え) 834万円
金銭信託 25万円
生命保険 219万円
損害保険 27万円
個人年金保険 130万円
債権 79万円
株式 321万円
投資信託 149万円
財形貯蓄 16万円
その他金融商品 20万円

※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」をもとに筆者作成
 
バブル期のように、銀行に預けておくだけでお金が増える時代ではない現代において、株式を保有している世帯は少なくありません。次からは、老後の資金計画の立て方とポイントを解説します。
 

老後に必要なお金とは?

老後の資金計画を立てる前に、まず1ヶ月間の収入と支出のイメージを捉えましょう。総務省統計局による2022年の「家計調査」のデータを紹介します。
 
世帯主が65歳以上の無職世帯の1ヶ月間の収入は24万8858円、支出は27万1524円という平均値が出ています。毎年行われている調査ですが、老後の収支が赤字であるという結果は10年以上変わっていません。
 
毎月不足する額を5万円と仮定して、その全てを貯金から賄うとすれば、5万円×12ヶ月×老後生活30年=1800万円が必要です。さらに、介護費や医療費の出費も予想されるため、2500万円程度を、老後資金の一つの目安と考えることができます。
 
また、持ち家率が92.5%という調査結果であるため、賃貸の場合は、支出額に家賃を上乗せして考えるべきでしょう。国民年金加入者も、厚生年金よりも年金額が少ないことから、より多くの貯蓄が必要です。
 
この結果はあくまでも平均であり、世帯ごとの生活水準や家庭環境によって、必要な老後資金は変化します。自分たちの生活スタイルに合わせて、柔軟に資金計画を立てることが肝要です。
 

老後の収入源とは? 平均額もあわせて紹介

ここで、定年退職後の収入源を詳しく見ていきましょう。年金と退職金のほかにも、退職後も無理のない範囲で働いて、収入を増やすという手も考えられます。
 

年金

年金には、国民年金の「老齢基礎年金」と厚生年金の「老齢厚生年金」の二つがあります。自営業や専業主婦(専業主夫)の場合は、老齢基礎年金のみの受給となるため、働き方によって受け取れる年金が変わります。

●企業勤めである場合の老齢年金の支給額:月額14万5665円
●基礎年金のみの場合の支給額:月額5万6479円

夫婦ともに企業勤めの場合は、14万5665円×2人で、月に29万1330円の年金収入、夫婦どちらかが基礎年金のみである場合は、14万5665円+5万6479円で、月に20万2144円、夫婦どちらも基礎年金のみである場合は、月に11万2958円の年金収入になります。
 

退職金

退職金の平均額は、企業規模や勤続年数によって、金額が大きく異なります。
 
表3 勤続20年以上・45歳以上で、定年退職した場合の退職金(退職一時金と退職年金の合計)平均額

大学・大学院卒(管理・事務・技術職) 1983万円
高校卒(管理・事務・技術職) 1618万円
高校卒(現業職) 1159万円

※厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」を参考に筆者作成
 
退職金は、一度に大きな金額を受け取れるため、活用の幅が広い資金です。全額を貯蓄に回すのではなく、思い切って投資や金融商品に挑戦して、資産を増やす方向へかじを切ることも、一つの手法でしょう。
 

老後の資金計画は余裕をもって

長年の子育てや住宅ローンなどにお金がかかり、ようやく老後の資金を考えられる頃には、60代目前という世帯も少なくありません。老後に必要な資金は、生活費のほかにも、介護費や医療費、家の修繕費など、特別に支出も多くなることが予想されます。
 
年金額では賄えないという調査結果も出ていますので、退職金や所持している金融資産を考えて、余裕をもった資金計画を立てましょう。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]各種分類別データ(令和4年) 2 金融資産の有無、金融資産非保有世帯の預貯金口座または証券会社等の口座の有無および現在の預貯金残高 4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む 6 種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
総務省統計局 家計調査(家計収支編)二人以上の世帯 詳細結果表 2022年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 3-2 世帯主の年齢階級別 無職世帯
厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業年報(令和3年度)(7・43ページ)
厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 結果の概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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