更新日: 2023.09.22 セカンドライフ

老後の生活費が毎月5万円不足? 「高齢になったら働き口もない」利用できる生活支援策はあるの?

老後の生活費が毎月5万円不足? 「高齢になったら働き口もない」利用できる生活支援策はあるの?
「年金だけでは暮らせない」というのが、年金を受給するようになった人の実感ではないでしょうか? 実際に、厚生労働省の「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金のみで生活している人は24.9%となっています。
 
つまり、約75%の人は年金だけで暮らしていないことになります。資産運用などリスクを取らずに、収入を増やす方法は「働くこと」ですが、働き口がないといわゆる老後破産にもなりかねません。
 
働き口が見つからず、生活に困窮している人への支援制度がありますので、本記事ではその内容について解説します。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

経済的に生活が困窮したときの相談先

生活が苦しくなって、節約をしたり、働き口を探しても見つからなかったりするなど、自助努力をしても必要な収入を得ることができない場合には、ファイナンシャルプランナーや税理士、弁護士といった専門家に相談する方法があります。
 
しかし、「生活困窮者自立支援制度」という公的制度がありますので、お住まいの都道府県や市町村の相談窓口にて無料で相談できますので、活用してみてはいかがでしょうか。
 

<生活困窮者自立支援制度の概要>

働きたくても仕事がない、再就職に失敗して雇用保険が切れたなど、さまざまな困難のなかで生活に困窮している人に包括的な支援を行う制度です。主な支援制度は下記のとおりですが、詳しくは、お住まいの都道府県や市町村に設置されている相談窓口で相談をするとよいでしょう。
 

(1)自立相談支援

どのような支援が必要かを支援員が相談者と一緒に考えて、具体的な支援プランを作成し、自立に向けて支援を受けることができます。
 

(2)住居確保給付金の支給

就職に向けた活動をすることなどを条件に、一定の要件を満たしている場合には、一定期間、家賃相当額を受給できます。
 

(3)家計改善支援

家計状況を把握、課題の明確化、改善計画の策定、必要に応じて貸付のあっせんなどを受け、早期の生活再生の支援を受けることができます。
 

年金生活者支援給付金制度

次に、年金受給者で、公的年金やその他の所得額が一定基準以下の場合に、年金に上乗せして支給を受けることができる年金生活者支援給付金の制度について解説します。
 
(1)支給要件
1. 65歳以上で、老齢基礎年金を受けていること
2. 請求される方の世帯全員の市町村民税が非課税となっていること
3. 前年の年金収入額(除く、障害年金・遺族年金)とその他の所得額の合計が87万8900円以下(※)であること

 
(※)77万8900円を超え87万8900円以下である方は、老齢年金生活者支援給付金の支給により所得の逆転が生じないようにするため、所得に比例して支給額が減額されます。
 
(2)給付額
保険料の納付期間等に応じて次の2つの計算式で算出され、合計額が給付額です。
 
1. 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5140円×保険料納付済期間÷480月
2. 保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1041円×保険料免除期間÷480月

 

(例)給付額の例(昭和31年4月2日以降生まれの人)

納付済月数が240ヶ月あり、全額免除月数が60ヶ月の場合で計算すると、
A. 5140円×240÷480月=2570円
B. 1万1041円×60÷480月=1380円

計算結果に50銭未満の端数が生じたときは切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは1円に切り上げます。
 
<給付額> A+B=2570円+1380円=3950円(月額)
 
尚、年金生活者支援給付金制度の詳細については、給付金専用ダイヤルやお近くの年金事務所にご相談されるとよいでしょう。
 
以上、老後に生活が苦しくなったときの公的な支援制度について解説しました。無料で相談できる制度もありますので、一人で悩むことなく、うまく公的制度を活用して安心して生活ができるようにしたいものです。
 

出典

厚生労働省 2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況
厚生労働省 生活困窮者自立支援制度 制度の紹介
日本年金機構 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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