近々、会社を辞めるつもりです。今後、健康保険や年金はどうなりますか? 退職後に必要な手続きも教えてください
配信日: 2023.09.22
本記事では、会社を辞めた後の、健康保険や年金の手続きについて解説します。なお、本記事では、退職時の年齢を60歳未満と仮定して解説します。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
退職後の健康保険の手続き
会社を辞めたあと(会社員でなくなったあと)も、公的医療保険には加入しなければなりません。すぐに再就職をしない場合、とれる選択肢は、以下の3つです。
・健康保険の任意継続被保険者になる
・国民健康保険に加入する
・健康保険の被扶養者になる
健康保険の任意継続被保険者になる
1つ目の選択肢は、退職後も健康保険に加入し続けるというものです。これを「健康保険の任意継続」といいます。ただし、健康保険を任意継続するためには、以下の要件を満たす必要があります。
・資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること
・資格喪失日から「20日以内」に申請すること(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
手続きは、加入していた健康保険の保険者(協会けんぽなど)に自身で連絡をして行います。
任意継続被保険者でいられる期間は、被保険者となった日から2年間です。この期間を経過するまでに再就職をしていない(健康保険の被保険者となっていない)場合は、国民健康保険に加入するか、健康保険の被扶養者になるか、どちらかを選択しなければなりません。
国民健康保険に加入する
2つ目の選択肢は、国民健康保険に加入するというものです。国民健康保険に加入するには、お住いの市区町村の国民健康保険担当窓口で手続きをする必要があります。このとき、協会けんぽなどの資格喪失証明書などが必要となる場合があります。
健康保険の被扶養者になる
3つ目の選択肢は、ご家族が加入する健康保険の被扶養者になるというものです。被扶養者となるためには、ご家族が加入する健康保険組合で手続きをする必要があります。
ただし、被扶養者になるためには、「被扶養者の範囲」「収入の基準」といった要件を満たしている必要があります。
退職後の年金の手続き
会社を辞めた(会社員でなくなった)場合、その方は、国民年金の第2号被保険者ではなくなります。このため、国民年金については、以下の2つから選択しなければなりません。
・国民年金の第1号被保険者になる
・国民年金の第3号被保険者になる
なお、厚生年金については、退職した時点で被保険者の資格を喪失します。
国民年金の第1号被保険者になる
会社を辞めて無職になった場合、原則として、国民年金の第1号被保険者となります。
退職の日の翌日から14日以内に、お住まいの市区役所・町村役場または年金事務所で、国民年金の第1号被保険者になるための手続きを行います。このとき、「基礎年金番号通知書など基礎年金番号の分かるもの」が必要となります。
もし、配偶者がいて、その方が被扶養者(国民年金の第3号被保険者)であった場合、その方も国民年金の第1号被保険者に変更する手続きが必要となりますので、注意が必要です。
国民年金の第3号被保険者になる
会社を辞めて無職になった場合であっても、配偶者の扶養に入る場合は、国民年金の第3号被保険者となります。被扶養者に該当した日から14日以内に、配偶者の勤務している事業所の所在地を管轄する年金事務所の事務センターへ必要書類を郵送し、国民年金の第3号被保険者になるための手続きを行います。
このとき、「国民年金第3号被保険者関係届」のほか、「収入確認のための書類(非課税証明書など)」「基礎年金番号通知書など基礎年金番号の分かるもの」を提出します。
まとめ
会社を辞めたら、会社員でなくなります。このことは、加入している健康保険や年金に影響を及ぼします。加入する公的医療保険と公的年金について、会社員と無職または被扶養者で比較すると、図表 1 のようになります。
(図表1)
会社員 | 無職 | 被扶養者 | |
---|---|---|---|
公的医療保険 | 健康保険 | 国民健康保険 | 健康保険 |
公的年金 | 厚生年金保険 | 国民年金 | 厚生年金保険 |
(筆者作成)
一般に、会社を辞めて無職となった場合、公的医療保険は健康保険から国民健康保険へ、公的年金は厚生年金保険から国民年金へ変わります。
したがって、会社を辞めた場合、これらの手続きが必要となります。配偶者の扶養に入る場合も、その手続きが必要となります。これから会社を辞める予定のある方は、ぜひ参考にしてください。
出典
全国健康保険協会 「会社を退職するとき」
全国健康保険協会 「1.任意継続被保険者となるための要件」
全国健康保険協会 「3.被保険者期間」
全国健康保険協会 「被扶養者とは?」
日本年金機構 「退職後の年金手続きガイド」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー