親ももうすぐ70歳。医療費や介護費が心配です。どのくらいかかるものなのでしょうか?

配信日: 2023.09.30 更新日: 2023.10.02

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親ももうすぐ70歳。医療費や介護費が心配です。どのくらいかかるものなのでしょうか?
自分の親が高齢になると、医療や介護にかかる費用が気がかりになるものです。「年金暮らしでまかなえるのか」「子ども世代にも負担がのし掛かるのでは」と不安に思う人は多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、高齢者の医療費・介護費について、実態を紹介するとともに、負担を軽減できる公的な制度を紹介します。高齢者の医療費の負担感や制度について知り、いざというときに備えましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

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70歳以上の医療費・介護費の平均額

公益財団法人 生命保険文化センターが実施した「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」によると、70歳以上の医療・介護費用の月額は図表1のとおりです。
 
【図表1】

年齢 医療・介護費用の月額
70~74歳 2万3400円
75~79歳 2万2100円
80~84歳 2万9700円
85~89歳 2万3900円
90歳以上 3万8000円

公益財団法人 生命保険文化センター「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」の結果より筆者作成
 
70〜89歳では2万円台ですが、90歳以上になると3万8000円と金額が大きくなります。
 

80歳以上になると医療費・介護費の生活費に占める割合がぐっと高くなる

同調査によると、70歳以上の医療・介護費用の生活費月額に占める割合は図表2のとおりです。
 
【図表2】

年齢 医療・介護費用が生活費月額に占める割合
70~74歳 10.5%
75~79歳 10.7%
80~84歳 13.2%
85~89歳 13.1%
90歳以上 13.3%

公益財団法人 生命保険文化センター「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」の結果より筆者作成
 
70〜79歳までは生活費の1割強ですが、80歳以降は急に2ポイント以上はね上がっています。70代と80代以上では、後者の方が医療・介護費用の負担感が大きいと言えるでしょう。
 

老後の健康状態も医療費・介護費に影響する

同じく生命保険文化センターの調査では、客観的健康状態別の医療・介護費用が生活費に占める割合は図表3のようになっています。
 
【図表3】

客観的健康状態 医療・介護費用が生活費月額に占める割合
差し支えなし 10.8%
ほんの少し差し支えあり 9.9%
差し支えあり 11.4%
大いに差し支えあり 13.5%

公益財団法人 生命保険文化センター「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」の結果より筆者作成
 
健康状態が悪いほど、医療・介護費の割合が高い傾向が見て取れます。医療・介護費がどれくらいかかるかは年齢だけで決まるのではなく、健康状態にも大きく左右されるのです。
 

高齢者の医療費・介護費の負担を軽減するさまざまな制度がある

高齢になるとどうしても心身の衰えから健康上の問題が起きやすくなり、高額な医療・介護費がかかることが珍しくありません。そのため、経済的な余裕がない人も医療・介護をしっかり受けられるよう、医療費・介護費の負担を軽減するさまざまな公的制度が設けられています。
 
主なものは次の4つです。

●高額介護サービス費
●高額療養費
●高額介護合算療養費
●医療費の窓口負担の限度額適用認定

 

高額介護サービス費

 
介護保険サービスの利用者負担額が、利用者負担段階区分ごとに設けられた上限額(月額)を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。制度を利用するには、住んでいる自治体の介護保険窓口に支給申請書の提出が必要です。
 

高額療養費・高額介護合算療養費

高額療養費制度は、医療費の自己負担額が所得区分に応じて設けられた自己負担限度額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。加入している健康保険に申請すると、支給を受けられます。
 
また、世帯内の同一の医療保険の加入者の1年間の医療保険と介護保険の自己負担額が基準額を超えた場合は「高額介護合算療養費」として超過分の返還を受けられる制度もあります。
 

医療費の窓口負担の限度額適用認定

医療費の窓口負担の限度額適用認定とは、入院・手術などであらかじめ医療費が高額になることがわかっている場合に、窓口負担を高額療養費制度の自己負担限度額に抑えられる制度です。加入している医療保険から事前に「限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口で提示すると適用を受けられます。
 

高齢者の医療費・介護費は高額になりがちだが、過度な負担は公的制度で軽減できる

70歳以上の高齢者の医療費・介護費は月平均2〜3万円と高額になる傾向があります。健康状態に問題があれば、それだけ医療費の負担も大きくなります。一方で日本では、高齢者の医療費・介護費の負担を軽くする公的な制度も多数整備されています。制度について家族で勉強しておくと、いざというときにスムーズに利用できて安心です。
 

出典

公益財団法人 生命保険文化センター ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査
全国健康保険協会 高額療養費・70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費・高額介護合算療養費
全国健康保険協会 医療費が高額になりそうなとき(限度額適用認定)
大阪市 介護保険高額介護(介護予防)サービス費(相当事業費)支給申請書(受領委任払承認及び支給申請書含む)
大阪市 高額療養費
京都市情報館 高額介護サービス費(利用者負担が高額になったとき)
横浜市 高額療養費支給制度
横浜市 限度額適用認定証の申請について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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