更新日: 2023.10.19 その他老後

老後に必要とされる費用「2000万円」は寿命何歳の場合?平均寿命からみる老後資金の実態

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

老後に必要とされる費用「2000万円」は寿命何歳の場合?平均寿命からみる老後資金の実態
老後2000万円問題が話題となり、将来のお金に対して不安を抱いている方も多いでしょう。しかし、ライフスタイルや寿命によっても、必要な資金は変わります。
 
そこで今回は、日本人の平均寿命まで生きたと仮定して、老後に必要となる資金を計算しました。「老後にいくらあればよいの?」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
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日本の平均寿命

厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、男女の平均寿命は以下の通りです。
 

●男性:81.05歳
●女性:87.09歳

 
約10年前の平成22年と比較すると、男性+1.5歳(平均寿命79.55歳)、女性+0.79歳(86.30歳)と、増加傾向にあります。
 
長生きするほどに、生活するうえでお金が必要となるため、余裕のある資金が必要といえるでしょう。
 

平均寿命で老後に必要な資金を計算してみた

日本の平均寿命が分かったところで、実際にその年齢まで生きた場合に、どれくらいの資金が必要になるのかを計算してみましょう。
 
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月あたりの収支は、表1の通りです。
 
表1
 
表1
 
※総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」を基に筆者作成
 
表1より、収入よりも支出のほうが上回っていることが分かります。その差は2万2271円であり、この分を、自分たちの資金でまかなわなければなりません。毎月2万2271円不足するとなると、年に26万7252円足りない計算です。
 
65歳から、男女それぞれの平均寿命まで生きたと仮定して、いくら必要なのかを計算してみます。男性の場合は、65~81歳までの16年間で427万6032円が不足、女性の場合は、65~87歳までの22年間で587万9544円が不足することになります。
※平均寿命は小数点以下を切り捨てて計算
 
しかし人によって、受け取る年金額や支出額が異なるため、この不足分には個人差があるでしょう。
 

老後にかかるお金は消費支出だけではない!?

家計調査による平均支出で計算すると、寿命までに400~600万円ほどが不足することが明らかとなりましたが、老後は「医療費」や「介護費」が追加でかかるリスクが高まります。
 
まずは、医療にかかる費用を見てみましょう。厚生労働省によると、令和2年度の一人あたりの国民医療費は、65歳以上で年間73万3700円とのことです。
 
老後22年間(女性の平均寿命まで生きた場合)で計算すると、約1614万円かかり、年代ごとに1~3割が自己負担として考えると、約271万円の負担額になります。
 
次は、介護費を見てみましょう。生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、月々の介護費用は平均8万3000円、介護期間の平均は5年1.1ヶ月とのことです。上記のほかにも、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時的な費用に、平均74万円がかかるそうです。
 
仮に5年間介護が必要になった場合、498万円(8万3000円×61.1ヶ月)+74万円で約581万円かかります。医療費と介護費を合計すると852万円となり、これと前述の不足分(老後22年分)を加算すると、約1440万円の資金が必要です。
 
ほかにも万が一の出費を考えると、2000万円は妥当な数字といえるでしょう。
 
もちろん、ライフスタイルや、受け取る年金によっても必要な金額は異なりますので、あくまでも目安として参考にしてください。
 

老後2000万円の資金があると安心|余裕を持って準備しよう

今回は、平均寿命とあわせて、老後にいくら必要になるのかを計算しました。結果として、万が一の出費に備えて資金を準備するのであれば、2000万円は妥当であることが分かりました。
 
その人のライフスタイルや、受け取る年金によっても異なりますが、2000万円を目安にして、老後資金を準備するとよいでしょう。今から計画的に、資金準備を始めることをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 令和4年簡易生命表の概要 1 主な年齢の平均余命

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)家計の概要(18ページ)

厚生労働省 令和2(2020)年度 国民医療費の概況(6ページ)

公益財団法人 生命保険文化センター 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査第Ⅱ部 生活保障に対する意識 2. 生活保障に対する考え方(170・173・174ページ)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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