更新日: 2023.10.24 その他老後

夫婦2人、老後も「賃貸」で暮らす予定です。年金はあわせて「月21万円」の見込みですが、生活は厳しいでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

夫婦2人、老後も「賃貸」で暮らす予定です。年金はあわせて「月21万円」の見込みですが、生活は厳しいでしょうか?
住居費は支出の中で大きな割合を占めるものです。老後も賃貸で暮らすつもりなら、家賃を継続的に支払えるのかということを考えなければなりません。支払いが可能な場合でも、老後は収入が減少するので、生活が厳しくなる可能性もないとはいえないでしょう。
 
そこで本記事では、年金の受給額が合計21万円の夫婦を想定し、賃貸で暮らす場合の経済状況や対策などを詳しく紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

65歳以上夫婦2人世帯の平均支出は?

賃貸で暮らす予定だと、その家賃の大きさに目がいきがちですが、支出は家賃だけではありません。食費や水道光熱費などさまざまな出費が生じるため、それらも含めて収支を考えておくことが大事です。参考になる資料として、総務省が国民生活の実態をまとめた家計調査年報が役に立ちます。
 
65歳以上夫婦2人世帯の平均支出が分かるデータも載っているからです。この資料の令和4年版では、働いていない同世帯の消費支出の平均月額は23万6696円でした。そのうち最も高額なのは6万7776円の食費です。2万2611円の水道光熱費などがそれに続き、住居費は1万5578円にすぎません。
 
このデータで住居費が低い原因は、平均の算出に持ち家のケースも含まれていることです。つまり、賃貸に住む場合の消費支出は前述の消費支出額を大幅に上回ると推測されます。また、実際は納税などの非消費支出も発生し、そちらの平均月額は3万1812円となっています。よって、持ち家と賃貸の両ケースを含む平均支出は、この消費支出と非消費支出を足した26万8508円です。
 

年金だけではカバーできないのか?

平均支出26万8508円と同額を毎月支払うとすると、21万円の年金だけでまかなうのは不可能です。しかも、これは持ち家のケースも含めた計算結果なので、家賃を考慮した金額で考え直す必要があります。
 
例えば、家賃が6万円の賃貸に住むなら、住居費の平均月額1万5578円より4万4422円も出費が多くなります。この場合の平均支出は「26万8508円+4万4422円=31万2930円」です。
 
収入が21万円の年金しかない世帯では、毎月10万2930円も不足してしまいます。そのまま暮らし続けると、わずか1年で赤字は120万円以上にも及ぶのです。あくまでも平均支出をもとにした推定ですが、老後の生活はとても厳しい状況になると予想されます。
 

支出を抑えて収入を増やそう

老後の厳しい状況を避けたい場合、収支の改善に向けた取り組みが求められます。その基本になるのは、最も大きな支出である家賃を抑えることです。
 
断捨離で所有物を減らせば、住空間や収納スペースが狭くても暮らしやすくなります。そうしてコンパクトな部屋に住み替えることは、住居費を節約する有効な手段です。都心部より家賃の相場が低い郊外に引っ越すという方法もあります。最寄り駅から遠くて安い物件を選ぶことも一つの手です。
 
また、前述のように、家賃を削減しただけでは収支がプラスにならない場合もあります。その可能性が高いなら、収入を増やす取り組みも必要です。高年齢者雇用安定法の改正によって、定年後の就業に関する間口は広くなりました。労働人口の減少も後押しとなり、再雇用などの見込みも十分にあるので、短時間でも働くことを視野に入れると良いでしょう。
 

幸せなセカンドライフに向けて早めの対策を!

老後を迎えてから生活費の不足に気付いても、そこから改善するのは容易ではありません。よって、受給予定の年金額を踏まえて、現役世代のうちに将来の収支を見通すことが重要です。
 
特に賃貸暮らしを予定している場合、現在の家賃では負担が大きそうなら、住み替えや引っ越しを検討する必要があります。幸せなセカンドライフを実現するために、準備を早めに進めておきましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要

厚生労働省 高年齢者雇用の現状等について

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集