更新日: 2023.10.26 定年・退職

65歳以降、「再就職」と「継続雇用」のどちらを選ぶ?それぞれ選んだ人の割合と賃金とは

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

65歳以降、「再就職」と「継続雇用」のどちらを選ぶ?それぞれ選んだ人の割合と賃金とは
昨今では、定年後も働かないと生活できないという声が、聞かれるようになりました。年金だけでは老後資金が足りないため、働けるうちは働かなければと、思われている方も多いでしょう。
 
しかし、定年後も働く場合は、再就職(転職)か継続雇用かの、働き方を選択しなければなりません。
 
再就職には「収入の多さよりも余裕を重視した働き方」、継続雇用には「収入を重視した働き方」といったイメージがあるのではないでしょうか。今回は、各機関が実施した調査結果を基に、それぞれを選んだ方の割合と賃金について、ご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

再就職を選ぶ人の割合と再就職後の賃金

独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「中高年齢者の転職・再就職調査」によると、再就職(転職)を選んだ方全体のうち、65歳以降に再就職(転職)を選んだ方の割合は、65~69歳で9.0%、70歳以上で合計16.9%でした。
 
65歳以上の方の、直近の再就職(転職)年代・性別ごとの割合は、表1のとおりです。定年後に再就職(転職)をして働く方は、比較的、女性よりも男性のほうが多い傾向にあるといえます。
 
表1

65~69歳で再就職 70歳以上で再就職
65~69歳 9%(男性10.4%、女性7.3%)
70歳以上 14.7%(男性19.1%、女性8.8%) 2.2%(男性2.3%、女性2.1%)

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「中高年齢者の転職・再就職調査」を基に筆者作成
 
また、65歳以上の方の転職・再就職後の賃金額は表2のとおりであり、全体では「10万円未満」が最多です。
 
表2

65~69歳 70歳以上
なし 0.2%(男性0.4%、女性0.0%) 2.0%(男性1.5%、女性2.6%)
10万円未満 38.9%(男性22.2%、女性58.0%) 33.6%(男性17.9%、女性54.6%)
10万円以上20万円未満 29.2%(男性33.0%、女性24.9%) 26.3%(男性26.3%、女性26.3%)
20万円以上40万円未満 18.7%(男性28.0%、女性8.2%) 19.3%(男性28.6%、女性6.7%)
40万円以上60万円未満 4.4%(男性7.9%、女性0.4%) 7.0%(男性11.8%、女性0.5%)
60万円以上 2.3%(男性3.9%、女性0.4%) 3.5%(男性6.1%、女性0.0%)

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「中高年齢者の転職・再就職調査」を基に筆者作成
 

継続雇用制度の導入状況と利用者の賃金の推移

継続雇用を選択するには、自社で仕組みが整っていることが前提です。
 
しかし、厚生労働省が発表した「令和4年 高年齢者雇用状況等報告」によれば、66歳以上まで働ける制度のある企業の割合は、40.7%にとどまっています。
 
表3

企業の割合
定年制を廃止 3.9%
(301人以上企業0.6%、21~300人企業4.2%)
66歳以上定年 3.2%
(301人以上企業0.8%、21~300人企業3.4%)
希望者全員66歳以上の継続雇用制度あり 10.6%
(301人以上企業5.1%、21~300人企業11.0%)
基準該当者のみ66歳以上の継続雇用制度あり 11.8%
(301人以上企業15.3%、21~300人企業11.5%)
その他66歳以上まで働ける制度あり 11.2%
(301人以上企業15.3%、21~300人企業10.8%)

※厚生労働省「令和4年 高年齢者雇用状況等報告」を基に筆者作成
 
また、継続雇用制度を利用した方の賃金について、独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」が「<改訂版>継続雇用、本当のところ 調査結果から読み解く、課題と効果」でまとめています。
 
この調査では、65歳以降の賃金について「64歳時点の水準と変わらない」と答えた方が最多を占め、全体の45.6%となりました。
 
表4のとおり、企業規模別に見ても、64歳時点と変わらない賃金水準の企業が過半数近くを占めているため、継続雇用制度を利用することで、収入の維持が可能といえるでしょう。
 
表4

~30人 31~100人 101~300人 301人~
64歳時点の水準と
変わらない
50.9% 45.0% 40.9% 50.0%
64歳時点の水準から
変化(全員一律)
6.3% 7.9% 11.6% 9.4%
64歳時点の水準から
変化(等級・ランクに応じて)
10.4% 9.1% 12.8% 9.4%
64歳時点の水準から
変化(個別)
25.7% 30.0% 30.5% 25.0%

※独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「<改訂版>継続雇用、本当のところ 調査結果から読み解く、課題と効果」を基に筆者作成
 

再就職・継続雇用の傾向とは?

再就職を選んだ場合は、収入は10万円未満となるケースの多いことが分かりました。一方、継続雇用を選んだ方の場合は、今までと同様の職場・仕事内容に就けるため、収入を維持できる可能性が高いといえます。
 
ここから、年金の繰下げ受給を検討していたり、収入維持を希望していたりする方は、継続雇用を選び、収入は減ってもよいから余裕のあるセカンドライフを送りたい方は、再就職を選ぶ傾向にあることが分かります。
 

出典

厚生労働省「令和4年 高年齢者雇用状況等報告」(6ページ)
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「<改訂版>継続雇用、本当のところ 調査結果から読み解く、課題と効果」(21ページ)
独立行政法人労働政策研究・研修機構「中高年齢者の転職・再就職調査」 図表2-2-2 転職・再就職経験者における直近の転職・再就職年代 (14・43ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集