更新日: 2023.11.08 セカンドライフ

標準的な年金受給額は夫婦で22万円!? 高齢者の賃貸暮らしの家賃はどのくらいがいいのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

標準的な年金受給額は夫婦で22万円!? 高齢者の賃貸暮らしの家賃はどのくらいがいいのでしょうか?
現役を引退して年金生活が目前になると、賃貸暮らしの家賃を払っていくことに不安を感じる人も多いでしょう。一般的な高齢世帯ではどのくらいの家賃を負担しているのか気になるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、高齢者世帯の平均的な収入から見た適正家賃の範囲や、高齢者世帯の家賃平均額、賃貸住まいの高齢者世帯の割合を紹介するとともに、家庭ごとの家賃を考えるときのポイントを解説します。
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夫婦2人の標準的な年金額は約22万円

日本年金機構が公開している「令和5年度の年金額の例(67歳以下の場合)」によると、夫婦2人の標準的(※)な厚生年金額は22万4482円です。この数字をもとに家賃を一般的に適正といわれる収入の3分の1以内に抑えるとすると、7万4000円前後までが適正な金額の目安といえます。
 
また、総務省「2022年 家計調査」の結果を見ると、二人以上の65歳無職世帯の可処分所得(手取り収入)の平均は、65~69歳:23万7121円、70~74歳:22万4737円、75歳以上:20万5544円となっています。家賃を3分の1までに抑える場合、適正金額の範囲は6万8000〜7万9000円程度となる計算です。
 
ただし、これらはあくまでもデータ上の標準的な収入をもとに計算した数字であり、個々の家庭にそのまま当てはめられるものではありません。家計のバランスは家庭ごとに異なるため、貯蓄の状況や基本的な生活費の水準、老後の趣味にかけたいお金などの必要性に応じて、住居費として無理なく負担できる金額を見積もる必要があります。

 

データから見る高齢者世帯の賃貸住宅の家賃平均額

総務省「平成30年住宅・土地統計調査」によると、夫婦ともに65歳以上の世帯の家賃平均額は月4万8620円です。賃貸住宅の種類別に見ると、民営借家:6万2748円、 都市再生機構(UR)や公社の借家:6万4834円といずれも6万円台ですが、入居者の所得制限などがある公営の借家では2万1915円と大幅に低くなっています。
 
いずれにしても、標準的な年金額や可処分所得の平均額の3分の1には収まる数字ですが、収入の不安がある場合には公営の借家を第一の選択肢にすると家賃負担を抑えられるでしょう。
 
また、家賃額別の世帯数の分布は図表1のようになっており、民営や都市再生機構(UR)・公社の借家では上下の金額に大きな開きがあります。
 
【図表1】

家賃の金額 民営借家 UR・公社の借家 公営の借家
1~1万円未満 2600世帯 0世帯 2万5700世帯
~2万円未満 6900世帯 200世帯 7万5100世帯
~4万円未満 5万世帯 1万1700世帯 9万7200世帯
~6万円未満 10万1300世帯 3万4700世帯 9800世帯
~8万円未満 7万2800世帯 2万700世帯 2100世帯
~10万円未満 2万6900世帯 1万200世帯 500世帯
~15万円未満 2万1100世帯 7300世帯 300世帯
~20万円未満 4100世帯 1500世帯 0世帯
20万円以上 4400世帯 300世帯

総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 2018年 表番号97」より筆者作成
 
なお、家賃の相場には地域差もあるため、家庭ごとの家計の実態に加えて地域の実情なども踏まえて試算する必要があります。

 

賃貸暮らしの高齢者はどのくらいいる?

内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人がいる主世帯のうち賃貸暮らしの世帯は2割未満であり、持ち家で暮らす世帯が大半です。ただし、65歳以上の単身世帯に絞ると、賃貸暮らしの世帯の割合は約3分の1に上がります。
 
高齢者のみの世帯は、事故や認知症などのトラブルを避けたい大家さんの心情や収入の低さ、連帯保証人を立てられないことなどを理由に、賃貸住宅を借りにくいケースがあるのが実情です。
 
「古い持ち家から賃貸に住み替えたい」「もっと家賃の低い賃貸に住み替えたい」といった希望がある場合は、入居先がなかなか決まらない可能性もあることに注意しましょう。

 

高齢者の賃貸暮らしの家賃は「無理せず負担できる程度」に

高齢世帯の家賃の平均は公営借家が2万円台、民営借家が6万円台ですが、実際の負担額は1万円未満〜20万円以上まで世帯によって差があります。世間一般の数字がどうなっているかを気にするよりも「わが家の家計ではいくらまでなら無理せず負担できるか」をメインに検討することが大切です。
 
現役時代と比べた収入の変化や老後の生活水準の希望、年齢を重ねると増える可能性が高い医療費や介護費用への備えなどをトータルして、許容できる家賃の範囲を試算しましょう。また、地域によって家賃の相場は異なるため、実際の賃貸物件の資料を調べるなど、現実的な金額のリサーチも必要です。

 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
総務省 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)
総務省 平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 2018年 表番号97
内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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