更新日: 2023.11.13 その他老後
50歳で貯金は「300万円」です。退職金は「1000万円」受け取れる見込みですが、老後は年金だけで暮らしていけるでしょうか?
本記事では、現在50歳で預貯金が300万円あり、10年後に60歳となり定年を迎えると退職金として1000万円を受け取る場合、老後は年金だけで生活できるのかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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老後の生活で必要な資金は月15万円以上!?
老後は年金だけで暮らしていけるのか考える際は、老後の生活費用として具体的にいくら必要なのか、支出規模はどのくらい発生する可能性が高いのか把握しておくことが重要です。
総務省統計局が公表している2022年家計調査報告(家計収支編)において、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は14万3139円、非消費支出は1万2356円で合計15万5495円かかるとされています。
「15万円程度なら預貯金と年金で問題なくカバーできるだろう」と思われるかもしれませんが、総務省統計局が出しているデータはあくまで、基本的な生活を送るうえで最低限必要な金額です。自身や家族も含めて突然病気や大きなけがをして長期間にわたる通院や入院が必要となる可能性もゼロではありません。
このような想定外の事態が発生する可能性も加味すると、月20万円以上かかるかもしれない前提で対策する必要があるかもしれません。
65歳から受け取る年金はいくら?
老後資金として期待される年金は具体的にいくらもらえる可能性があるのでしょうか。
22歳で大学を卒業後は会社員として60歳まで38年間働いた場合、原則65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できます。
老齢基礎年金は現役時代の働き方や収入規模にかかわらず、保険料納付済期間と免除期間を合算した受給資格期間が10年以上あれば受け取りが可能です。今回のケースは未納期間などがなく、20歳から60歳までの40年間の保険料をすべて納付しているため満額となる月額6万6250円(2023年度)が受け取れます。
一方で老齢厚生年金は厚生年金保険の加入期間や保険料納付額によって変化し、報酬比例部分と経過的加算、加給年金額を足した金額をもらえます。ただし今回は便宜上、平均標準報酬月額が30万円で固定され、経過的加算や加給年金額については考えないものとします。
報酬比例部分についても2003年3月以前と4月以降の加入期間では計算方法が異なります。2003年4月時点で30歳とすると厚生年金保険にすでに8年間加入しており、その後は将来も含めて30年間加入する計算となります。
2003年3月以前と4月以降の加入期間の計算方法は次のとおりです。
●(2003年3月以前)平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
●(2003年4月以降)平均標準報酬月額×5.481/1000×2003年3月までの加入期間の月数
今回は前者が8年間(96月)、後者は30年間(360月)であり、それぞれ計算式に当てはめると、合計約80万円(月額約6万6000円)です。老齢基礎年金と合わせると約13万2000円が受け取れる計算です。
年金だけだと約15年以内に資金が底をつく
60歳時点で預貯金と退職金あわせて1300万円あり、毎月の年金収入は13万円、支出は20万円(赤字額は7万円)かかると仮定します。赤字額は預貯金と退職金を使って補填するため、1年間で84万円が減る計算です。毎月84万円ずつ減ると1300万円あった資産は約15年間で底をついてしまいます。
まとめ
本記事では50歳時点で預貯金が300万円あり、60歳で退職金を1000万円もらえる場合、老後は年金だけで生活できるのかを解説しました。
退職金があるため散財しなければ今すぐ生活に困ることは考えにくいですが、赤字補填で想定よりも早く貯蓄がなくなるおそれもあります。数千万円単位の資金が手に入ると「自由に使えるお金が豊富にある」と油断する可能性もあるので要注意です。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
日本年金機構 令和5年4月分(6月15日(木曜)支払分)からの年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー