更新日: 2023.11.22 定年・退職

公務員に導入された「役職定年制」は、給与などにどんな影響がある? 退職金はマイナスにならないの? 制度について解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

公務員に導入された「役職定年制」は、給与などにどんな影響がある? 退職金はマイナスにならないの? 制度について解説
民間企業で導入されている役職定年制度が、2023年から公務員(国家・地方)にも導入されました。公務員の役職定年制度では、収入や退職金などにどのような変化があるのでしょうか。
 
本記事で制度の概要や収入などへの影響を解説します。
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役職定年制度とは、どんな制度?

民間企業での役職定年制度は50代から導入されているところもありますが、公務員での役職定年制度は、管理監督職にいる人が60歳の誕生日以降から最初の4月1日までの異動期間に、管理監督役から降任する制度です。
 
役職定年制の対象は、事務次官・局長・部課長・室長などの管理監督職などで、60歳の誕生日以降から最初の4月1日以後は管理監督職につけません。
 
例えば、県庁で部長級に就いているAさんが12月10日に60歳を迎えるとき、次の3つの選択肢から今後の進路を選ぶことになります。

(1)翌年4月1日までの異動期間のうちに管理監督職ではない課長補佐級以下まで降任して、61歳となる年度から定年退職日までその役職で常勤勤務する
(2)いったん退職し「定年前再任用」で短時間勤務職員として勤務する
(3)60歳で退職する

ただし、役職定年での異動で公務運営に大きな支障がおきる場合には、異動期間を延長して引き続き管理監督職に就ける「特例任用」制度が定められています。
 

収入はどのように変わる?

役職定年となると、収入がどのように変わってしまうのかは気になるところです。管理監督職に就いているかどうかにかかわらず、60歳の誕生日を迎えた翌年4月1日以降の月額基本給は7割になります。
 
具体的にどのくらいの減額になるかの一例を図表1に挙げます。
 
【図表1】


人事院給与局 国家公務員の60歳以降の働き方について
 
60歳に達した職員の手当については、基本給と同じく7割に減額されるものと減額されないものがあり、7割水準となるものは期末・勤勉手当などで、7割に減額されない手当は通勤手当・住宅手当などです。
 

退職金にはどんな影響がある?

60歳以後に、定年前に退職した場合には、退職手当の基本額は当分の間「定年退職」として計算されます。
 
役職定年によって月額基本給が減額された場合、減額される前(60歳以前)の月額基本給の最高額を考慮して退職手当額を計算する「ピーク時特例」が適用されます。
 
つまり、60歳になる前と後に分けて計算されるため、退職金は60歳定年と比べてマイナスにはなりません。
 

まとめ

公務員における役職定年制度は、管理監督職にいる人が60歳の誕生日以降に管理監督役から降任する制度で、翌年4月1日以降の月額基本給は7割になります。管路監督職でない職員も、60歳の誕生日を迎えた翌年4月1日以降の月額基本給は7割支給となります。
 
60歳以後は、管理監督職ではない役職で定年まで常勤勤務する・いったん退職し短時間勤務で働く・60歳で退職する、という3つの進路選択肢があります。60歳以後で定年前に退職した場合には、定年退職と同様に退職手当として計算され支給されます。
 

出典

人事院給与局 国家公務員の60歳以降の働き方について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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