更新日: 2023.12.08 定年・退職
勤続35年です。退職金は満額になると思うのですが、いくらくらいになるのでしょうか?
本記事では、統計データをもとに勤続35年の人の平均退職金額を紹介するとともに、退職金額を左右する要素についても解説します。ぜひ参考にして、自身の退職金額をイメージしてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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勤続35年で定年退職した人の平均退職金額は最終学歴で差がある
退職金の金額は、勤続年数だけでは決まりません。まずは、最終学歴が退職金額にどのように影響するかを見てみましょう。
中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」の結果によると、勤続年数35年の男性が定年退職したときの平均退職金額は、最終学歴ごとに図表1のとおりです。
図表1
最終学歴 | 平均退職金額 |
---|---|
大学卒 | 1903万3000円 |
短大・高専卒 | 1719万3000円 |
高校卒 | 1745万7000円 |
中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」より筆者作成
大卒者と高卒者の平均退職金額には、約160万円の開きがあることが分かります。
同じ勤続35年でも退職事由で退職金額は異なる
学歴などの条件が同じでも、退職事由によって退職金額は左右されます。一般的には、会社都合での退職をした場合と比べて、自己都合退職者の退職金額は低くなります。「令和3年賃金事情等総合調査」によると、大学卒業者の勤続35年での退職事由別の平均退職金額は、図表2のとおりです。
図表2
職種 | 会社都合退職 | 自己都合退職 | 定年退職 ※勤続年数によらない |
---|---|---|---|
総合職相当 | 2364万9000円 | 2163万4000円 | 2563万9000円 |
一般職相当 | 1626万1000円 | 1383万4000円 | 2439万1000円 |
中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」より筆者作成
総合職相当では会社都合退職の平均退職金額のほうが約200万円高く、一般職相当では会社都合退職のほうが240万円以上会社都合退職を上回っています。勤続35年=満額の退職金額ではないため、自分で早期リタイアを決めて退職する場合などには、注意が必要です。
また、同じ会社都合退職でも、定年退職のほうが平均退職金額が高くなっています。勤続35年目で定年に達するかどうかも、退職金額に影響することに留意しましょう。
会社規模でも退職金額に差がつく
退職金の金額を左右するのは、学歴や退職事由だけではありません。会社の規模によっても、退職金額が大きく異なる傾向があります。
参考までに、主に大企業を対象に調査した「令和3年賃金事情等総合調査」と、中小企業を対象とした東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」の結果より、学歴別の平均退職金額を比較してみましょう(図表3)。
図表3
最終学歴 | 平均退職金額 | |
---|---|---|
大企業 | 中小企業 | |
大学卒 | 1903万3000円 | 1091万8000円 |
短大・高専卒 | 1719万3000円 | 983万2000円 |
高校卒 | 1745万7000円 | 994万円 |
中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」および東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」より筆者作成
数字を一見しただけでも、中小企業の平均退職金額は、大企業の平均退職金額を大きく下回っていることが分かるでしょう。対象範囲が異なる調査の結果なので単純に比較はできませんが、一般的な傾向と大きくかけ離れてはいないはずです。
退職金は勤続年数だけで決まらない
退職金の支給額は勤続年数だけで決まるものではなく、学歴の差による給与の違いや退職事由、企業規模などで異なります。また、勤務先ごとの退職金の規定によっても、もらえる金額や支給方法は違うはずです。
統計データから「自分は○万円くらいもらえるに違いない」と皮算用していても、実際の支給額とはかけ離れている可能性があります。勤務先の退職金規定を確認したうえで、退職金額を試算してみましょう。
出典
中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査(確報)
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー