健康上の理由で60歳の定年退職で完全に仕事を辞めます。65歳の年金受給までに生活費はいくらかかるでしょうか?

配信日: 2023.12.12 更新日: 2023.12.13

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健康上の理由で60歳の定年退職で完全に仕事を辞めます。65歳の年金受給までに生活費はいくらかかるでしょうか?
60歳で定年退職し、やむを得ない事情で再就職もできないとなると、年金が支給される65歳までの生活費が問題となります。貯蓄や退職金で足りるのか、不安になる人も多いでしょう。
 
そこで本記事では、60歳の定年退職から65歳までの5年で生活費がいくら必要なのかを試算するとともに、生活費をうまく捻出する方法も紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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定年退職から65歳までに必要な生活費は1000万円を超える

公益財団法人生命保険文化センターが実施した「2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」」では、夫婦2人が最低限の老後生活を送るのに必要な月々の生活費は、約23万円という結果が出ています。60歳で定年退職をして65歳で年金受給開始するまでの5年間では、23万円×12ヶ月×5年=1380万円が必要となる計算です。
 
また、健康上の問題があり通院をしている場合は、医療費がかかるぶんを上乗せして考える必要があるでしょう。仮に毎月3万円の医療費を負担するとなると、さらに180万円の費用が必要です。
 

65歳までの生活費はどう捻出すればよいのか

貯蓄や退職金が潤沢であれば、年金の支給が始まるまでの生活費に困ることはないでしょう。しかし、貯蓄や退職金にそれほどゆとりがない場合、60歳の定年から年金の支給が始まるまでの生活費をうまく捻出し、老後資金を食いつぶさない工夫が必要です。
 
例えば、次のような方法が考えられます。

●生活費の見直しをする
●年金の繰上げ受給を選択する
●現役のうちにNISAやiDeCoを始める

以下で1つずつ解説します。
 

生活費の見直しをして貯蓄からの支出をおさえる

まずは生活費を見直して、貯蓄を少しでも減らさずに済む暮らし方を考えましょう。保険を見直す、スマートフォンの通信プランを安いものに乗り換えるなど固定費の見直しから始めると、まとまった金額を継続して節約しやすいためおすすめです。
 

NISAを運用して資金を増やす

現役のうちにNISAを始めて、資金を増やしておく方法もあります。
 
NISAとは、運用益にかかる約20%の税金が非課税となる税制優遇制度です。投資の利益が税金で目減りしないため、効率よく資産を運用できます。長期・積立・分散投資に適した投資信託が対象のつみたてNISA(2024年以降はつみたて投資枠)なら、比較的低リスクでの資産運用が可能です(※元本割れのリスクはあります)。
 
また、2024年以降は非課税期間が無期限になり、より長期間の運用が可能となりました。一度NISA口座を開設すれば、年金受給開始後もずっと生活資金作りに活用できます。
 

年金の繰上げ受給を選択する

貯蓄や退職金では生活費が足りない場合は、年金の繰上げ受給が選択肢になります。ただし、60歳で受給をスタートすると年金額が19.6~24%減ってしまうこと、以下のデメリットがあることを踏まえてよく検討しましょう。

●65歳までは遺族厚生年金や遺族共済年金と併給できない
●寡婦年金を受給できなくなる
●障害基礎年金を請求できない
●厚生年金保険の長期加入者・障害者の特例措置を受けられない

 

60歳まで10年以上あるならiDeCo加入も選択肢に

60歳の定年までに10年以上期間があるなら、iDeCoを活用して60歳から受け取れる年金を確保しておく方法もあります。
 
iDeCoとは、自身で運用方法を決め、掛金と運用益の合計額を元に一時金または年金を受け取れる、私的年金制度です。掛金が全額所得控除の対象となるほか、運用益も非課税となる税制優遇を受けられます。
 
例えば、50歳でiDeCoに加入し2万3000円の掛金を10年間拠出した場合、想定利回り3%で積立総額は約321万円、うち約45万円が運用収益です(※金融庁「資産運用シミュレーション」による試算)。
 
60歳から5年間で全額を年金として受け取る設定にすると、年額約64万円、月々約5万3000円を受け取れる計算となります。また、運用中には住民税・所得税でトータル55万円以上の節税効果も得られます(※iDeCo公式「かんたん税制優遇シミュレーション」による試算)。
 
iDeCoは10年以上の加入期間がないと60歳から給付金を受け取れないため、加入するタイミングが重要です。     
 

無給期間の生活費対策を早めに始めよう

60歳で定年退職し再就職もしない選択をすると、繰上げ受給をしない限りは公的年金の無給期間が生まれます。無収入の期間の生活費は1000万円以上必要となる可能性があるため、資金を確保するための対策をできるだけ早めに始めておきましょう。生活費を見直して貯蓄を作るほか、NISAやiDeCoなどの制度を活用するのもおすすめです。
 

出典

公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
日本年金機構 年金の繰上げ受給
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金) 【公式】かんたん税制優遇シミュレーション
金融庁 資産運用シミュレーション
金融庁 新しいNISA
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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