更新日: 2023.12.13 定年・退職

定年退職金が2000万円の見込みです。2000万円があれば60歳から働かずに年金だけで暮らしていけますか?

定年退職金が2000万円の見込みです。2000万円があれば60歳から働かずに年金だけで暮らしていけますか?
定年退職後は、働かずに悠々自適な生活を送りたい人も多いでしょう。退職金をもらって巷で言われる「老後資金2000万円問題」をクリアすれば、年金収入だけで生活できるのでしょうか。
 
本記事では、老後の平均的な生活費の金額をもとに、年金額がいくらあれば退職金と年金だけで生活できるのかを試算してみます。ぜひ、自分の状況と比較してみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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平均的な老後の生活費は夫婦2人で約24万円

定年退職後の生活費は、一般的にいくらくらいかかるのでしょうか。
 
総務省が実施した「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」の結果によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の生活費は、平均23万6696円です。年間では約284万円、老後30年間ではおよそ8500万円を生活費として支出する計算となります。
 

定年退職金2000万円と年金だけで暮らすには年金はいくら必要?

定年退職金が2000万円ある場合、年金と定年退職金だけで生活するには、以下の2つのパターンが考えられます。
 

●65歳になるまでは退職金を切り崩して生活し、65歳から年金を受給する
●60歳から年金を繰上げ受給して、足りない分を退職金から補う

 
それぞれどのくらいの年金額があれば生活が成り立つのか検証してみましょう。
 

65歳までは退職金を崩して生活する

1つ目は、65歳になるまでは退職金を切り崩して生活し、65歳から年金を受給するパターンです。この場合、平均的な生活費を支出するならば、年間284万円×5年間=1420万円を定年退職金から出すこととなります。
 
また、65歳以降は月額約24万円の生活費を年金と残りの退職金でまかなう必要があります。仮に退職の残額580万円を老後30年間で等分すると1ヶ月当たり約1万6000円となるので、年金額は毎月約22万円必要です。
 
日本年金機構が例示している標準的な夫婦世帯の年金額は22万4482円なので、現役時代に平均的な収入があった人は、退職金と年金だけで生活を支えられる可能性があります。
 

60歳から年金を繰上げ受給する

2つ目のパターンは、60歳から年金を繰上げ受給して、足りない分を退職金から補う方法です。
 
60歳0ヶ月に年金を繰上げると、年金額は24%減額されます。標準的な世帯の夫婦がどちらも繰上げ受給を選択した場合、減額後の世帯の年金額は22万4482円×(100%-24%)=17万606円です。
 
平均的な生活費をまかなうには毎月約7万円不足する計算ですが、退職金で補おうとすると2、3年余りで2000万円が尽きてしまいます。この方法で老後30年間を乗り切るには、65歳からの年金額が24万円以上必要です。
 
現役時代に平均を超える年収があるか、退職金以外にまとまった貯蓄がなければ、繰上げ受給をして働かずに生活を成り立たせるのは難しいかもしれません。
      

備えはあって困らない! 老後生活の生活費不安を解消する工夫を

ベンチャーサポート相続税理士法人が実施した「老後資金と働き方」に関する調査では、50代会社員の8割以上が老後の生活費に不安を抱いているという結果が出ています。具体的に挙がっているのは「年金だけでまかなえるか」「現在の生活レベルを維持できるか」といった内容の不安です。
 
年金の金額によっては、働かずに老後の生活を成り立たせるのは難しいケースもあります。また、現役時代と同じ生活レベルを維持したいと考えるなら、年金、退職金以外の老後資金作りは必須です。
 
現役のうちにできるだけ貯蓄をすることはもちろん、NISAやiDeCoを利用して資産運用するなど、老後の生活資金にゆとりを持つための工夫をすることをおすすめします。
 

老後の生活費の備えは2000万円では不十分な可能性がある

退職金が2000万円あれば、年金の金額によっては、働かずに平均的な生活を送れます。しかし、働かずに老後の生活を送りたいと考えるなら、年金以外の備えが退職金2000万円だけでは心もとありません。
 
金銭的なゆとりを持って生活するために、貯蓄や投資などの方法で、計画的に老後資金を準備しておく必要があるでしょう。
 

出典

総務省 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)

日本年金機構 年金の繰上げ受給

日本年金機構 令和5年4月分(6月15日(木曜)支払分)からの年金額

ベンチャーサポート相続税理士法人 「老後資金と働き方」に関する調査

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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