50代の自営業ですが、年金も貯金も少なく「老後貧乏」になりそうです。老後の生活費はどうすればいいでしょうか?

配信日: 2023.12.18

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50代の自営業ですが、年金も貯金も少なく「老後貧乏」になりそうです。老後の生活費はどうすればいいでしょうか?
「老後貧乏にならないためにはどうしたらいいのか」といった、疑問や不安を持つ人は多いでしょう。
 
特に、定年のない自営業者やフリーランスの場合、原則として国民年金しか加入していません。2023年度における国民年金の1ヶ月あたりの受給額(満額)は、67歳以下で6万6250円、68歳以上は6万6050円です。自営業者は、老後にどう備えるべきなのでしょうか。本記事では、自営業者やフリーランスの老後資金について解説します。
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老後に必要な資金はどれくらい?

実際に、老後の生活費はどのくらいかかるのでしょうか。生命保険文化センターの「2022年度(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送るうえで必要と考えられている最低日常生活費の平均月額は23万2000円、ゆとりある老後生活費は37万9000円でした。
 
会社員であれば、厚生年金に加え退職金の受給が期待できますが、自営業者やフリーランスは原則そのようなものがないため、「将来の生活設計が安定しないのでは……」など不安を抱きやすい傾向です。そこで、効果的と考えられる、下記の対策を紹介します。
 

自営業者は国民年金にプラスの備えを

自営業者やフリーランスは、国民年金に加えて以下のような備えをすることが可能です。いくつか種類があるため、ライフプランに合ったものを探してみましょう。
 

厚生年金代わりの「国民年金基金」

国民年金基金は、厚生年金と同じく国民年金に上乗せされる年金制度です。加入できるのは、個人事業主やフリーランスなどの第1号被保険者のみです。最大のメリットは、掛金の全額が所得控除の対象になり節税対策できることです。
 
また、掛金は少額から始められ、加入後も掛金を増減できるほか、終身年金が基本なので亡くなるまで年金を受け取ることができます。国民年金基金の掛金は、加入時の年齢や加入口数などで決まるため、将来受け取る年金額も決まっており、老後の計画が立てやすいです。
 
しかしその一方で、将来インフレになった場合は、その価値も下がってしまうので注意が必要です。また、一度国民年金基金に加入すると、基本的に自己都合で辞めることはできません。
 

2年で元が取れる「付加年金」

付加年金は、国民年金に月400円をプラスして納めることで年金に上乗せすることで、「200円×付加保険料を納めた月数」の付加年金額(年額)が老齢基礎年金に加算されます。
 
仮に5年間でも加入すれば、付加保険料の総支払額は2万4000円(400円×60ヶ月)、65歳から毎年1万2000円(200円×60ヶ月)が支給され、支払い開始から2年で元が取れる計算です。ただし、国民年金基金との併用はできません。
 

運用次第で資金が増える「iDeCo(個人型確定拠出年金)」

iDeCoは、掛金を自分で積み立て、自分で選んだ金融商品を運用するタイプの年金です。毎月の掛金や運用する金融商品を自分で選べ、個人事業主やフリーランスの場合は毎月の積立額を5000~6万8000円まで1000円単位で選べます。
 
国民年金基金と同様に、確定申告の際に掛金全額を所得控除できるほか、運用期間中の運用益が非課税と税制面でのメリットがあります。ただし、iDeCoは金融商品の一種となるため、選んだ運用先によっては元本割れする可能性もあります。そのため、将来の給付額は運用実績によって変わる点には注意しましょう。
 
また、加入時の手数料や毎月の手数料のほか、口座管理手数料がかかる金融機関もあります。
 

自営業者の退職金制度「小規模企業共済」

自営業者の退職金制度としておすすめなのが、「小規模企業共済」です。小規模企業共済は、個人事業主が廃業したときなどに備えて資金を積み立てられる制度であり、加入に年齢制限はありません。
 
掛金を月額500円きざみで1000~7万円までで自由に設定し、掛金額と加入期間に応じて共済金を受け取ります。さらに、掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、節税対策としても有効です。
 
(例)50歳で加入して65歳で脱退した場合に受け取れる共済金額
※中小機構「小規模企業共済制度 加入シミュレーション」より

納付月数:181ヶ月
掛金月額:3万円
掛金総額:543万円
課税所得金額:200万円
受け取れる共済金額
共済金A(事業廃止等):607万200円
共済金B(老齢給付等):585万6000円

 
掛金額や加入期間、条件によって受け取れる共済金額は変動しますが、国民年金だけでは不安な場合は加入を検討してみてはいかがでしょうか。
 

年金や節税の知識を生かして老後に備えよう

自営業者やフリーランスは、会社員のような厚生年金ではないため、将来受け取れる金額も異なります。50歳の場合、年金受給までにあと15年しかないため、早めに老後資金の準備に取り掛かりたいところです。老後資金がどうしても不安な場合は、「国民年金基金」「付加年金」「iDeCo」「小規模企業共済」などへの加入を検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
国民年金基金

日本年金機構 付加保険料の納付

中小機構 小規模企業共済 加入をご検討の方
中小機構 小規模企業共済制度 加入シミュレーション

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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