更新日: 2023.12.19 定年・退職
退職金「2000万円」は年末調整されてない? 確定申告しないと「損」する場合も!? もらいっぱなしで大丈夫かも解説
本記事では、定年退職金を受け取ったあとに必要となる手続きについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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定年退職金は基本的にもらいっぱなしでOK
まず大前提となる話ですが、退職金は原則として確定申告する必要はありません。もらいっぱなしで大丈夫です。ただ、会社に「退職所得の受給に関する申告書(図表1)」を提出している場合に限られる点には注意しましょう。これにより、退職金からの源泉徴収で課税が完了できるようになっています。
図表1
国税庁 A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)
退職金にかかる所得税額
退職金にかかる所得税は、退職金という性格上、税負担が軽くなるように配慮されています。退職金から退職所得控除額を差し引き、さらにその2分の1の金額に対して所得税率が乗じられる仕組みとなっているからです。退職所得控除額は図表2の算式で計算します。
図表2
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
国税庁 退職金と税
例えば、勤続30年の人が2000万円の退職金を受け取った場合の所得税は以下のとおりです。
800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円
(2000万円-1500万円)×1/2×5%=12万5000円
2000万円もの退職金を受け取っても、所得税はわずか12万5000円という結果になりました。
申告書がない場合には源泉所得税が高くなる
「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合には、退職金から天引きされる源泉所得税は額面に一律20.42%となり高額となります。退職金2000万円であれば、408万4000円です。上記の12万5000円とは大きな違いですね。
ただ、「退職所得の受給に関する申告書」の提出は会社にとってありふれた手続きであり、自分から進言しなくても会社から提出を求められる場合がほとんどでしょう。「忘れないようにしないと!」と過度に心配するほどではありません。
退職金は年末調整されるのか
結論からいうと、退職金は年末調整されません。
退職金はほかの所得と分離して課税される仕組みとなっており、原則として年末調整や確定申告で所得税の精算をする必要がないからです。その証拠として、定年退職する際には給与の源泉徴収票と、退職金の源泉徴収票は別々で受け取るはずです。
確定申告した方がよい場合もある
ただし、以下のようなケースに該当する場合には、あえて不要である確定申告をした方がお得になります。
・再就職していない
・ほかの所得で赤字がある
・医療費控除などの所得控除がある
・「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない
など
まず定年退職後に再就職をしていない場合には、年収が下がるので所得税を納め過ぎている可能性があります。また、事業所得や不動産所得がある人で、退職金を受け取った年が赤字の場合、その赤字は給与所得や退職所得と相殺することができます。給与と退職金から引かれている源泉所得税が戻ってくる可能性があるので、取りあえず確定申告してみるとよいでしょう。
次に医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除などの各種控除がある場合です。年の途中で退職した場合には年末調整が済んでいないので、確定申告で精算しましょう。住宅ローン控除の金額は大きいので、人によっては退職金にかかった源泉所得税が全額戻ることもあり得ます。
前述しましたが、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には20.42%の源泉所得税が引かれています。確定申告で正確な所得税を計算して、差額の還付を受けましょう。
まとめ
定年退職金は原則として税金に関して何もする必要はありません。もらいっぱなしで大丈夫です。ただ、還付を受けられる可能性があるので、確定申告での還付の有無については確認しておくとよいでしょう。
出典
国税庁 退職金と税
国税庁 A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー