更新日: 2024.01.05 定年・退職
退職金「1500万円」と「2000万円」の手取りの差は「500万円」ではない!? それぞれいくら引かれているの? 勤続20年のケースで試算
企業によっては1500万円や2000万円という大金を受け取れる場合もあります。しかし、退職金にも所得税を支払わなければいけないので、額面通りに受け取れない点に注意が必要です。
本記事では、退職金の手取り額について解説していきます。退職金が額面で1500万円の場合と2000万円の場合でいくら違うのかの比較もするので参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職金の手取り額の計算方法
退職金は受け取り方で退職所得となるか雑所得となるので注意が必要です。一時金として受け取った場合は退職所得、年金のように毎年受け取る場合は雑所得となります。一般的なのは一時金として受け取る方式です。そこで本記事では退職金を一時金として受け取ることを想定して計算していきます。
退職金を退職所得として計算する場合、退職所得控除を受けられます。退職所得控除の計算式は勤続年数によって異なるので覚えておいてください。勤続年数が20年以下の場合は「40万円×勤続年数」、勤続年数が20年を超える場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」です。
勤続年数15年で退職金が1000万円だった場合
勤続年数が15年で退職金が1000万円だった場合は40万円×15年なので600万円が退職所得控除です。
退職金の課税所得は「退職金-退職所得控除額×1/2」で求められることから、1000万円-600万円×1/2となり、200万円となります。200万円の場合の所得税率は10%で、さらに9万7500円が控除されるので「200万円×10%-9万7500円」となり、10万2500円が所得税です。最終的に、989万7500円が手取り額になります。
勤続年数25年で退職金が1000万円だった場合
また、勤続年数が25年で退職金が1000万円だった場合は800万円+70万円×(25年-20年)で1150万円が控除額です。そのため、この場合は退職金が全額控除されるので、手取り額は額面通りの1000万円になります。このように勤続年数が20年を超えると退職所得控除も大きくなるので手取り額が減りにくい点が特徴です。
退職金が1500万円の場合の手取り額
退職金1500万円、勤続年数25年の場合で退職金の手取り額を計算します。この場合、1150万円が退職所得控除の金額です。1500万円から1150万円を控除できるので350万円の半分の175万円が課税所得です。
課税所得が175万円の場合は税率10%で控除額が9万7500円、所得税の金額は7万7750円です。そのため、1492万2250円が手取り額になります。
退職金が2000万円の場合の手取り額
退職金2000万円、勤続年数25年の場合、退職所得控除は1150万円です。2000万円から1150万円を控除できるので、850万円の半分の425万円が課税所得になります。
課税所得が425万円なので、税率は20%、控除額は42万7500円です。このことから、42万2500円が所得税になります。手取り額は1957万7500円です。退職金が1500万円の場合と比較すると、465万5250円の差になります。額面では500万円の差ですが、手取り額は差が縮まりました。退職金が多いと引かれる税金も多いので注意してください。
ご自身の退職金の金額と勤続年数を計算してみましょう
退職金が1500万円の場合と2000万円の場合では、実際の手取り額は額面通りほどの金額差がないことがわかりました。もっとも、本事例のように勤続年数が20年を超えている場合の金額なので、勤続年数によって手取り額は変わっていきます。
そのため、まずはご自身の退職金の金額と勤続年数を計算してみましょう。定年後の生活のために手取り額についても確認してみてください。
出典
国税庁 退職金と税
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー