更新日: 2024.01.17 定年・退職

私は「80歳」で死ぬ予定ですし「貯蓄1000万円」なので、65歳からの老後生活は大丈夫ですよね? あまり長生きする気がしません…

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

私は「80歳」で死ぬ予定ですし「貯蓄1000万円」なので、65歳からの老後生活は大丈夫ですよね? あまり長生きする気がしません…
何の根拠もなく「私は○歳で死ぬ予定だから」と話す人、結構いませんか? そして、その予定寿命をベースに老後資金の計画をしている人、本当に大丈夫でしょうか。
 
本記事では、「私は80歳で死ぬ予定&貯蓄1000万円なので65歳で老後生活いけますよね?」について考えてみたいと思います。「いけないでしょ……」と思ってしまうところですが、実際に計算して答えを出してみましょう。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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65歳から80歳まで生きるのに貯蓄1000万円で足りるのか

まずは80歳で死ぬと仮定して、65歳から80歳までの15年間生活するのに貯蓄1000万円で足りるのか否かを計算してみましょう。65歳から老後生活に入るとのことなので、働かずに年金のみでの生活とします。
 
日本年金機構が公表している夫婦2人分の厚生年金の例は、2023年4月分から月額22万4482円となっています。15年分で、22万4482円×12ヶ月×15年=約4040万円です。
 
次に生活費です。総務省統計局の家計調査によると、世帯主が65歳以上の無職世帯における生活費の平均額は約24万円、70歳以上で23万円、75歳以上で22万円となっています。
 
それぞれ5年ずつなので、(約24万円×12ヶ月×5年)+(約23万円×12ヶ月×5年)+(約22万円×12ヶ月×5年)=約4140万円となります。
 
年金収入から生活費を差し引いた金額は-100万円なので、貯蓄1000万円で十分足りるという計算結果になりました。ただし、これは順調に15年間の生活が進むことが前提である点に注意しましょう。
 
途中で病気やけがで入院したり施設に入ったりしなければならなくなるかもしれません。詐欺にあうかもしれません。あくまでも、このような人生のリスクがなかった場合の結果です。
 

平均寿命は延びている

厚生労働省の「2022年簡易生命表」によると、日本人の平均余命(0歳の平均寿命)は男性81.05年、女性87.09年となっています。前年と比較すると、男性は0.42年、女性は0.49年下回る結果となっていますが、長期間で見てみると図表1のとおり、平均寿命は延び続けていることがわかります。
 
1990年には男性75.92年、女性81.90年だった平均寿命が、30年後の2020年には男性81.56年、女性87.71年となっており、6年弱も延びています。この流れでいくと、15年後の平均寿命は男性84年、女性90年くらいになっていそうですね。
 
図表1
 

 
厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況1主な年齢の平均余命
 

100歳も増加の一途

ひと昔前に比べて、身近に100歳以上の人が増えたと思いませんか? それもそのはずで、厚生労働省によると2023年年度中に100歳になる人は4万7107人で、前年度比で1966人増となっています。
 
そして100歳以上の高齢者の数は9万2139人ですが、1963年にはわずか153人だったそうです。その後、1981年に1000人を超え、1998年に1万人突破、2012年で5万人を超え、2023年は10万人に迫っています。特に、ここ25年で約1万人が約10万人に急増しているところを見ると、これから先も増え続けるのではないでしょうか。
 

まとめ

貯蓄1000万円で80歳までの老後生活は、病気など突然の出費が重ならなければ無事に送ることができそうです。ただ、100歳以上生きる可能性も十分にあるので、80歳で幕になることを前提にした計画をおすすめすることはできません。これからの時代の老後生活は、100歳をめどに計画した方がいいかもしれません。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

総務省統計局 家計調査 家計収支編 2022年

厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況 1主な年齢の平均余命

厚生労働省 百歳高齢者表彰の対象者は47,107人

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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