更新日: 2024.01.11 定年・退職

退職金「900万円」は少ないでしょうか? もらえるだけ有難いと思っていたのですが、この金額では「老後破産」してしまいますか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

退職金「900万円」は少ないでしょうか? もらえるだけ有難いと思っていたのですが、この金額では「老後破産」してしまいますか…?
退職金に関する規定は、会社によってさまざまです。自己都合や定年など退職の種類によっても受け取れる金額は変わってきます。そもそも、退職金は必ず出るわけではありません。なかにはまったく出ない会社もあるでしょう。
 
今回は、定年退職金制度を設けている会社の割合や平均支給額、退職金が少ない場合の老後の考え方などについて解説していきます。
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退職金制度のある会社の割合と平均支給額

厚生労働省がまとめた「令和5年就労条件総合調査」をもとに、退職金制度を設けている会社の割合と平均支給額を紹介していきます。
 

・退職金制度がある会社の割合

「令和5年就労条件総合調査」から「退職給付制度の有無及び形態」を見ていくと、退職金制度を設けている企業の割合は全体の74.9%です。つまり、25%ほどの企業は退職金制度がないことがわかります。
 
退職金制度がある企業を規模別に見ると、1000人以上は90.1%、300~999人は88.8%、100~299人は84.7%、30~99人は70.1%です。企業規模が大きくなるほど、退職金制度がある割合は高くなります。
 

・退職金の平均支給額

平均支給額は、同調査の「退職者の状況」から見ていきましょう。ここでは、定年退職に限定して学歴ごとの平均支給額を紹介します。
 
大学・大学院卒の平均支給額は1896万円です。高校卒は職種によって違いがあります。高校卒の管理・事務・技術職の平均支給額は1682万円、高校卒の現業職の平均支給額は1183万円です。
 

退職金900万円は少ない?

今回のケースは、退職金という情報しかありません。金額から考えれば勤続年数はそれなりに長いことがうかがえますが、自己都合による中途退職なのか会社都合なのかどうかでも判断は分かれます。
 
仮に定年退職金と考えた場合、平均より少ないことがわかります。ただし、在職中の給与やボーナスが充実していたかどうかも重要です。これまで十分な預貯金ができているかどうか、今後の生活に困ることがないかどうかということで判断する必要があります。
 

退職後のお金の使い方も大切なポイント

定年退職金は、現役引退と同時に受け取れる大きなお金です。そのため、老後の生活費や住宅ローンの残債などにあてる人は多いでしょう。
 
定年退職後も働く人は増えていますが、受け取れる給与は現役時代より下がる傾向があります。老後のお金の使い方としてまず注意しておきたいのは、投資などに回す場合はそのリスクをしっかりと認識することです。
 
特に、これまでまったく投資経験がない人は注意しましょう。元本割れのリスクもある投資に退職金の大半を回すといった行動は、老後の生活不安を招く可能性があります。
 
投資をはじめさまざまな金融商品や起業の誘いがあっても、慣れないことにせっかくの退職金を失うことは避けたいものです。投資は、余裕のある人がするものと考えておくほうが賢明です。年金受給額と退職金、預貯金などを計算し、月々どれくらい使えるかを早い段階で計算しておきましょう。
 

退職金の額よりも生活費全体で判断を

退職金の額が平均より多いか少ないかよりも、実際の生活が困らないかどうかのほうが大切です。退職金のようなまとまったお金が入ったときは、金融商品の誘いなども増える傾向があります。
 
誘われるまま投資などで増やすことを考えるより、生活費が不足しないかどうかを総合的に判断することが重要です。そのうえで、退職後の暮らしを充実させていきましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況
厚生労働省 退職給付(一時金・年金)制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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