60歳で定年退職しますが、貯金が「150万円」しかありません…年金を早めに受け取ったほうがよいでしょうか?
配信日: 2024.01.14 更新日: 2024.01.18
年金の受け取る時期を60歳にまで繰り上げる手段もありますが、受け取れる金額が減少するため、注意しましょう。
今回は、本来年金を受け取る65歳以降で必要な生活費や、年金の繰上げ受給などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
65歳以降で必要な生活費はいくら?
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)」によると、65歳以上の夫婦がともに無職の世帯における支出平均額は、消費支出と非消費支出を合わせて月額26万8508円でした。65歳以上の単身無職世帯になると、消費支出と非消費支出を合わせて月額15万5495円の支出です。
夫婦世帯の場合は年間322万2096円を、単身世帯ならば年間186万5940円を、年金と貯金でまかなうことになります。
年金は60歳受け取りに繰り上げできる
貯金が少なく、定年退職後すぐに年金を受給したい場合は、年金の受け取り開始を60歳にまで繰り上げられる「繰上げ受給」を利用できます。ただし、繰り上げる月数によって受け取れる金額が減少するため、注意しましょう。日本年金機構によると、減少額を求める式は以下の通りです。
・減額率(最大24%)=0.4%×繰り上げた月数
例えば、65歳に達する月が4月で、60歳の4月分から繰り上げ受給した場合は、繰り上げた月数は60ヶ月ですので、減額率は24%になります。なお、「年齢計算に関する法律」により、65歳に達するのは誕生日の前日となるため、4月1日生まれの方は3月31日が65歳に達する日となります。
さらに年金の繰上げ受給は、一度申請すると取り消しはできません。繰上げ受給を利用する場合は、よく考えてから行いましょう。
繰上げ受給の年金と150万円の貯金でどれだけ生活できる?
今回は、条件を以下の通りとします。
●家計調査報告の65歳以上の生活費と同額を必要とする
●単身無職世帯
●年金額は厚生労働省の調査の平均値を使用する
●60ヶ月繰上げ受給したとする
まず、厚生労働省の調査によると、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた平均受給額は、月々14万3973円です。繰上げ受給を60ヶ月したことにより、24%減額すると、月に約10万9419円、年間で約131万3028円になります。
単身世帯は年間186万5940円が生活費として必要ですので、年金から支払うと、残りの55万2912円を毎年貯金から支払う計算になります。貯金150万円では、約2.7年で使い切ってしまいます。
つまり、繰上げ受給をしても、長期的に見れば、生活費の資金が足りなくなる可能性は少なくありません。定年退職する前に、早い段階で貯金を始めておくか、60歳以降も勤務を続けるなどして、生活費の貯金をしておきましょう。
繰上げ受給よりも早めに貯金を始めたり65歳まで働いたりすることがおすすめ
定年退職後の貯金に不安がある場合は、年金を早めに受給することも可能です。しかし、繰上げ受給を利用すると、65歳から受け取り始めるよりも受け取れる額が減少してしまいます。早めに貯金を始めたり、65歳まで再雇用や定年延長を活用して働いたりすれば、年金の受給額を減らさずに貯金を殖やせるため、おすすめです。
出典
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)家計の概要 Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)
図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2022年-
図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2022年-(18ページ)
日本年金機構 年金の繰上げ受給
デジタル庁 e-gov法令検索 明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)(明治三十五年法律第五十号) 1
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 表9 厚生年金保険(第1号) 受給権者平均年金月額の推移 (9ページ)
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