更新日: 2024.01.16 その他老後

日本では65歳以上の男性「61%」が働いている!? 2位のアメリカは「38%」で先進国では断トツという結果に 年金への影響も解説

執筆者 : 御手洗康之

日本では65歳以上の男性「61%」が働いている!? 2位のアメリカは「38%」で先進国では断トツという結果に 年金への影響も解説
日本国内では、定年年齢の引き上げや定年制の廃止、70歳までの就業確保の努力義務など、高齢になっても働くことができる制度が整備されてきました。実際に高齢者の就業率は年々増加しており、2022年時点で60~64歳の70%以上(男性は80%以上)、65~69歳でも約50%(男性は60%以上)に達しています。
 
国内の高齢就業者の増加を実感することも多くなりましたが、日本の高齢者就業率が世界の中でどれくらいの水準であるのかを想像できるでしょうか? 平均寿命も延びており、長く働ける環境ができること自体は良いことだといえるでしょう。この記事では世界の中での日本の高齢者就業や、それに影響されるかもしれない今後の懸念点にも触れていきます。

日本は65歳以降の就業率が非常に高い

日本における高齢者の就業率を世界と比較すると、65歳以降の就業率が高いのが特徴的です。
 
まず、60~64歳を見ると、ドイツやアメリカでは男性の就業率が60%超で、日本も60~64歳の男性就業率は80%を超えています。そして日本の場合は、65歳以降の就業率も高水準を維持しており、70歳以降に関しては41.8%で、アメリカの21.7%に大きく差をつけています。
 
図表1 主要国の60歳以上男性の就業率(雇用/人口比率)(2022年) 単位(%)

OECD Employment database より筆者作成
 
高齢者の就業率の高さは、平均寿命の長さが要因の1つといえます。一概には言えませんが、一般的に平均寿命が長い国は高齢者の就業率が高い傾向にあります。
 
ちなみに日本の平均寿命は世界1位の84.3歳(男性81.5歳、女性86.9歳)です。アメリカは平均寿命78.5歳、ドイツは81.7歳でした。平均寿命世界2位はスイスの83.4歳ですが、60~64歳の就業率は69.0%、65~69歳は25.9%と高い割合になっています。
 

高い高齢者就業率は年金受給開始の後ろ倒しになる前触れか?

総務省が2023年9月に発表した資料によれば、日本の総人口に占める65歳以上の割合は29.1%で200の国・地域の中で世界最高だといいます。2位はイタリアの24.5%、ドイツは9位で22.7%となっています。
 
高齢者の割合が増えることで心配になるのは、やはり年金の財源問題といえるのではないでしょうか。現在の年金受給は原則65歳からとなっていますが、過去にも年金の支給時期は段階的に引き上げられてきています。また、2022年4月からは年金制度が改正され、繰下げ受給の上限年齢が70歳から75歳まで引き上げられています。できるだけ年金開始受給時期を後ろにすることで、年金の財源問題に対処しているようにも感じられます。
 
とはいえ、年金の財源問題は一層深刻化してくるものと予想され、この流れには逆らえないでしょう。そうなれば、現在の公的年金に依存せず、自分自身でも防衛策を考えなくてはなりません。現実的にはできる限り長く働くことが効果的で分かりやすい手段であることから、今後さらに日本の高齢者就業率は高くなると考えられます。
 

出典

総務省統計局 労働力調査
OECD Employment database
WHO World Health Statistics
総務省 統計からみた我が国の高齢者
 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

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