更新日: 2024.01.22 定年・退職

健康寿命が73歳なら、年金は「60歳」で受け取るほうがお得? 平均寿命まで生きる場合と比較

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

健康寿命が73歳なら、年金は「60歳」で受け取るほうがお得? 平均寿命まで生きる場合と比較
年金は原則として65歳から受け取り始めるものですが、希望すれば60~75歳までの間で受給開始時期を変更できます。そして、65歳からの年金受給額と比較し、65歳よりも早く受け取り始めるともらえる金額が減額され、遅く受け取り始めると増額されます。
 
年金は65歳から受け取らず、繰り下げて受給したほうが生涯の年金受給額が増えてお得だという意見も少なくありません。確かにそのような場合もありますが、もう1つの考え方として、「健康な間にできるだけ多くの年金を受け取りたい」というものもあります。
 
本記事では年金受給額が受け取り始める時期によってどう変わり、健康寿命と平均寿命までにもらえるトータルの金額がどうなるのかを比較します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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会社員の年金受給額の平均は約14万円

日本の公的年金には厚生年金と国民年金があり、会社員は厚生年金保険料を支払います。その中に国民年金の分も含まれているという仕組みです。
 
厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老後に受け取れる老齢厚生年金の平均は月額で14万4982円です(国民年金分も含む)。
 
今回はこの金額を65歳からもらえるものとして、シミュレーションを進めていきます。
 

年金は60歳から受け取ると毎月の金額は30%減額される

65歳から月額で14万4982円もらえるとしても、年金を60歳から受け取り始めた場合この金額は減額されます。60歳から受け取り始めた場合の減額率は65歳からの年金額に対して30%です。
 
つまり、今回の事例においては60歳から受け取り始めると、毎月の年金額は14万4982円から30%減額された10万1487円になります。
 

健康寿命と平均寿命までにもらえる年金額

内閣府によると、令和元年(2019年)時点での平均寿命は男性が82歳、女性は88歳です。また、健康寿命は男性が73歳、女性は76歳です(全て小数点以下切り上げ)。
 
今回は男性を例にして計算を進めていきます。
 
平均寿命の82歳までにもらえるトータルの金額について、年金受給開始年齢が60歳と65歳で計算すると次のとおりです。
 

●60歳:10万1487円×12ヶ月×23年=2801万412円
●65歳:14万4982円×12ヶ月×18年=3131万6112円

 
65歳からもらい始めるほうが、60歳からもらい始めるよりも、もらえる期間は5年短いものの、トータルの年金額は300万円以上多くなりました。
 
続いて、健康寿命の73歳までにもらえるトータルの金額について、年金受給開始年齢が60歳と65歳で計算すると次のとおりです。
 

●60歳:10万1487円×12ヶ月×14年=1704万9816円
●65歳:14万4982円×12ヶ月×9年=1565万8056円

 
健康寿命までの間で見ると、60歳からもらい始めたほうが100万円以上多くなりました。
 

まとめ

今回のシミュレーションでは、60歳よりも65歳から年金をもらい始めた場合、平均寿命まで生きれば生涯の年金額は多くなり、健康寿命までの期間の受給額でみると少なくなりました。そのため、健康なうちにできるだけ多くの年金をもらいたいという人は、年金を早めにもらい始めたほうがよいかもしれません。
 
とはいえ、実際に人はいつまで健康でいられるのか、そしていつまで生きられるのかは不明です。そして、年金を受け取る時期を遅らせた場合にはそれまでの生活費を用意する必要があります。
 
年金を受け取るタイミングは、貯蓄や就業状態、価値観などをもとに、総合的に検討していきましょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

日本年金機構 年金の繰上げ受給

内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版) 第1章 高齢化の状況(第2節 2)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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