更新日: 2024.01.22 定年・退職

実家に帰省したところ、両親の貯蓄が「600万円」しかないことが発覚しました。もうすぐ定年なのに大丈夫なのでしょうか? 将来的に援助が必要になる可能性もありますか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

実家に帰省したところ、両親の貯蓄が「600万円」しかないことが発覚しました。もうすぐ定年なのに大丈夫なのでしょうか? 将来的に援助が必要になる可能性もありますか…?
家族とはいえ、両親の貯蓄まで把握している人はそこまで多くはないでしょう。いざ両親の貯蓄額を知り、その額が想定以上に少なければ、老後の生活は大丈夫なのかと不安を抱くのも仕方がありません。親の定年が近づいている場合は、なおさら心配になるでしょう。
 
今回は、定年が近づいている親世代の貯蓄が600万円の場合、安心できる金額といえるのかについて、同年代の平均貯蓄額や65歳以上の平均収支などから考えます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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50代以降の貯蓄額

まずは、日本人の貯蓄額から確認しておきましょう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、2人以上の世帯の平均貯蓄額は1291万円でした。より実態に近いといわれる中央値は400万円です。世帯主が50代の世帯の貯蓄額は、平均が1253万円、中央値が350万円となっています。
 
同じように60代の平均は1819万円、中央値は700万円です。多くの人が退職しているであろう70代の世帯では、貯蓄額の平均が1905万円、中央値は800万円となっています。
 
同調査のデータをみる限り、貯蓄600万円は十分な金額であるとはいえません。中央値でみても60~70代の貯蓄額を下回っています。老後2000万円問題などが話題となりましたが、現在の貯蓄額では不安が残ってしまうでしょう。
 

65歳以上の世帯の平均収支

次は、総務省統計局の「家計調査」のデータをもとに、65歳以上の世帯の収支について確認してみましょう。令和4年の家計調査の結果によると、世帯主が65歳以上の世帯の1ヶ月あたりの平均消費支出額は20~29万円ほどです。年齢が上がるにつれて減少傾向にありますが、これらをさらに平均すると、25万円前後の支出額となります。
 
一方で、世帯主が65歳以上かつ勤労者である世帯の平均実収入は、42~47万円ほどです。同じく無職の世帯の平均実収入は、22~28万円程度となっています。65歳以降も働くと収入は平均で毎月45万円程度あるものの、定年退職し無職となると毎月の収入は25万円程度となるでしょう。これらの収入には年金などの社会保障給付が含まれています。
 
上記のデータをみると、支出額も無職となった場合の収入も平均はともに25万円程度のため、なんとかやりくりできそうにもみえます。しかし、家計調査によると、65歳以上の無職世帯の可処分所得は20~24万円程度であり、平均すると22万円程度となっています。平均支出額と比べれば、毎月3万円程度の赤字となる計算です。
 
この数字を参考にすると、赤字額は年間で36万円、30年間では1000万円を超えます。亡くなる年齢は人それぞれですが、貯蓄600万円のみでは足りなくなる可能性が否定できません。状況によっては、長生きするほどに生活が苦しくなっていくかもしれません。
 

将来について話してみよう

とはいうもののこうしたケースの場合、貯蓄が600万円である一方で、ほかにも老後に備えた対策を講じている可能性があります。65歳以降も働こうとしている人もいるでしょう。個人年金保険に加入しているケースも考えられます。貯蓄の中には株式や投資信託があり、その利益が今後増加することに期待しているようなことがあるかもしれません。
 
もし心配なようであれば、会話の中で老後の生活について触れてみてはどうでしょうか。すでに対策をしているのであれば過剰な心配をする必要はなく、もし何もしていない場合は、早めの対策を促すようにしましょう。積極的なサポートは親の助けとなるとともに、結果的に自分たちの生活や老後にも有用な知識などを入手するきっかけとなるでしょう。
 

両親の老後に備えて早めに対策をしておこう

もうすぐ定年の両親の貯蓄が600万円の場合、65歳以上の収入や支出の平均額をみると、状況によっては働き続けなければ赤字になる可能性が高いかもしれません。長生きするほどに貯蓄は減っていくでしょう。
 
貯蓄600万円では、老後の生活を考えた際には十分であるとはいえません。両親の老後が心配なのであれば、会話の中でさりげなく定年後の生活についての話題を出してみましょう。特に何もしていない場合は早めの対策を促し、その際には可能な範囲でのサポートも検討しましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編 2022年
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)
 
※2024/1/22 記事を修正いたしました。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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