更新日: 2024.01.24 セカンドライフ

「老後2000万円問題」が有名ですが、貯蓄が「200万円」しかありません…老後はこの金額と年金だけで生活できませんか? 将来「破産」しないためにはどうすればいいですか…?

「老後2000万円問題」が有名ですが、貯蓄が「200万円」しかありません…老後はこの金額と年金だけで生活できませんか? 将来「破産」しないためにはどうすればいいですか…?
「老後30年間で約2000万円が不足する」との試算を、金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが2019年に公表したことで話題となった「老後2000万円問題」ですが、老後までに2000万円が必要といっても実際に用意するのは難しいという人も多いでしょう。
 
そこで本記事では、必要な貯蓄額の計算方法を含めて、年金だけで生活することができるのかを解説します。

老後は年金だけでも生活できる?

老後の収入が支出よりも多い状態が維持できれば、貯蓄が少なくても年金だけの生活が可能です。
 
2019年に話題となった「老後2000万円問題」はあくまでも平均的なデータをもとに計算しているため、実際に必要な貯蓄額は人によって異なります。
 
例えば、2022年に総務省が公表している2人以上世帯のうち65歳以上無職世帯の平均的な収入と支出を見ると、(税・社会保険を除く)可処分所得が約21万6000円で消費支出が約23万90000円と、毎月約2万3000円の赤字が発生する計算となっているため、毎月約5万円の赤字が発生するとしていた2019年とは異なる結果になることがわかりました。
 

必要な貯蓄額を明確にしよう

老後の収入や支出は人それぞれで、収入や支出の額によって必要な貯蓄額も異なるため、自身に必要な貯蓄額をシミュレーションで明確にしておきましょう。老後に必要な貯蓄額は、老後の収入や支出などを次の式に当てはめて算出します。
 
「老後に必要な貯蓄額=(毎月の支出-毎月の収入)×老後の生活期間」
 
老後の年金は日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」から確認が可能です。
 
老後の支出には主に住居費や食費などの基本的な生活費が挙げられます。高齢夫婦の平均的な支出額(消費支出約23万円+非消費支出約3万円/月額)や現在の支出額を目安に考えるとよいでしょう。
 
また、老後の貯蓄は定年後から寿命を迎えるまでの余命年数分を用意しておく必要があります。厚生労働省によると、令和4年時点の定年年齢の割合は60歳が72.3%と最多で、平均寿命は男女ともに80歳を超えているため、老後の生活期間は20年以上を目安にしてください。
 
老後に必要な貯蓄額を明確にし、貯蓄額がゼロ以下となれば年金だけでも生活はしていけます。
 

安定した老後に向けて今からできること

安定した老後を過ごすためには、老後に向けてできることを今から始めておくことが大切です。老後に向けてできることには、老後の貯蓄金額を把握することやライフプランを見直すこと、貯蓄を支援する制度を活用して貯蓄額を増やすことなどが挙げられます。
 
受け取れる退職金や加入している個人年金など、老後資金に充てられる金額を把握したり、老後に想定している生活や支出などのライフプランを見直したりすることで、老後までに必要な貯蓄額をより明確にできるでしょう。
 
また、投資信託や個人年金保険などを活用して、老後に向けて貯蓄額を増やすのもおすすめです。NISAやiDeCoなど、運用益が非課税になる制度を上手く活用して老後の安定を目指しましょう。
 

まとめ

2019年に話題となった「老後2000万円問題」はあくまでもモデルケースで考えた場合なので、老後の収入が支出よりも多い状態が維持できれば、貯蓄が少なくても年金だけで生活は可能です。
 
老後に必要な貯蓄は、老後の収入や支出、生活期間によって異なるため、まずは老後に必要な貯蓄額を明確にしておきましょう。
 
安定した老後を過ごすために、ライフプランの見直しや制度を有効活用して貯蓄額を増やすなど、老後に向けてできることは今から始めておくことが大切です。
 

出典

総務省 家計調査年報(家計収支編)
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)
 
執筆者:梅井沙也香
FP2級

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