更新日: 2024.01.25 セカンドライフ

3月に定年を迎え、年金を65歳から「月12万円」ほど受け取ります。貯金と退職金で「2000万円」あれば、60歳からは働かなくても問題ないでしょうか? 少しでも働くほうが良いですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

3月に定年を迎え、年金を65歳から「月12万円」ほど受け取ります。貯金と退職金で「2000万円」あれば、60歳からは働かなくても問題ないでしょうか? 少しでも働くほうが良いですか?
数年前、金融庁の試算を発端に「老後2000万円問題」が話題になったことがありますが、「自分はこのまま老後を迎えても生活していけるのか」不安を抱える人も多いかもしれません。
 
20代や30代など若年のうちは「まだまだ先の話」として他人ごと感があるかもしれませんが、50代にもなると、老後の過ごし方などを具体的に想定するケースも増えるでしょう。
 
本記事では、「今年3月に60歳で定年を迎え、年金を65歳から毎月12万円受け取る場合、資産が2000万円あれば働かなくても乗り切れるのか」について解説します。
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定年後も毎月15万円以上の生活費が必要?

年金や預貯金などの資産で老後の生活をカバーできるかどうか判断するためには、実際にどのくらいの生活費が発生するのか把握する必要があります。
 
今回のケースは、年金の繰上げ受給は行わず、通常通り65歳から受け取る予定のため、60歳から5年間は収入がない状態です。預貯金と退職金を合わせた2000万円を少しずつ取り崩す形となりますが、使いすぎると65歳以降の生活にも影響を与えてしまうため注意しなければなりません。
 
老後に必要な生活費は、総務省統計局が公表している家計調査報告を参考にします。それによると、2022年度の65歳以上の単身無職世帯の消費支出と非消費支出の合計額は15万5495円となっています。つまり、特にぜいたくをしなくても毎月15万円以上は生活費が発生する可能性が高いことが分かります。
 

生活費は想定より増える可能性もある

「15万円程度なら特に問題ない」と思われるかもしれませんが、実際にはさらに多くの出費が発生することも考えられます。例えば、急に体調を崩したり怪我をして通院や入院を余儀なくされたり、大雨や地震などの災害にあうリスクもあります。
 
「自分は全くぜいたくをしない、今後もするつもりがない」という場合でも、不測の事態が発生して想定外の出費が重なる可能性はゼロではありません。これらを総合的に考慮すると、「最低でも月20万円程度の支出」に耐えられる経済基盤を構築しておいたほうが良いかもしれません。
 

5年間働かなくても乗り切れる?

毎月20万円の生活費がかかると仮定すると、年間で240万円、5年間で1200万円の支出が発生します。収入はないため全額預貯金から取り崩す形です。60歳の定年時に2000万円あるため、1200万円取り崩して使ったとしても65歳まで乗り切ることは可能です。
 
ただし、65歳時点で預貯金は800万円まで減少しています。65歳からは毎月12万円の年金をもらえますが、さきほど説明したとおり毎月20万円の生活費が発生する場合は、年金収入だけでは8万円の赤字となります。1年間で約100万円の赤字となる計算で、800万円の預貯金は8年以内に底をついてしまうおそれがあります。
 
預貯金が底をつく8年後の時点ではまだ73歳です。いまは「人生100年時代」ともいわれるため、長生きすることは珍しくありません。もし100歳まで生きる場合「約30年間どのように生活していくのか」といった大きな課題を抱えてしまいます。
 
65歳までの5年間は乗り切れても、中長期的視点で考えると今のままでは非常に厳しいと言えるでしょう。
 

まとめ

本記事では、60歳の定年時点で預貯金2000万円あれば、5年間働かなくても乗り切れるのか解説しました。
 
もちろん60歳時点で資産が2000万円あれば、余程のことがなければすぐに生活が困窮することは考えにくいでしょう。ただし、中長期的に見ると「2000万円と年金があるから安心」というわけではないので要注意です。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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