夫は中小企業ですが30年同じ会社で働いていました。退職金はだいだいどのくらいもらえそうでしょうか?
配信日: 2024.01.27
本記事では、同じ会社で30年勤務していた場合に受け取れる退職金の額について、厚生労働省と東京都産業労働局の資料から説明していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
同じ会社に長年勤務して受け取れる退職金の平均は?
厚生労働省は、「令和5年就労条件総合調査概況」で「退職給付(一時金・年金)の支給実態」として、退職金の平均給付額をまとめています。調査の対象になっているのは勤続20年以上かつ45歳以上の退職者です。今回は勤続30年という情報しかないため、自己都合退職と定年退職の2つのケースでみていきましょう。なお、この調査では企業規模別の平均は出されていません。
・自己都合退職
大学・大学院卒の場合は、1441万円が平均額です。高校卒は、管理・事務・技術職の場合が1280万円、現業職だと921万円が平均額になっています。
・定年退職
定年退職の場合は、やや金額が上がります。大学・大学院卒は平均で1896万円です。高校卒は管理・事務・技術職が平均1682万円、現業職は1183万円という金額になっています。
中小企業に限定した場合の退職金の目安は?
次に、中小企業に限定した場合の退職金の目安を紹介します。ここでは、東京都産業労働局がまとめた、「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」のモデル退職金(調査産業計)から自己都合退職(勤続30年)と定年退職のケースでみていきます。
・自己都合退職
大学卒の場合は、653万6000円です。高専・短大卒は565万8000円、高校卒の場合だと532万5000円となっています。
・定年退職
大学卒の場合は、1091万8000円です。高専・短大卒は983万2000円、高校卒の場合だと994万円となっています。
実際には業種によっても退職金は異なり、もっとも高いのは「金融業・保険業」です。大学卒の自己都合退職が999万6000円、定年退職が1442万2000円です。高専・短大卒の自己都合退職は535万円、定年退職は906万4000円、高校卒の自己都合退職が509万8000円、定年退職が1073万6000円です。
また、企業規模(常時雇用人数)によっても金額は変わってきます。大学卒のみ説明しますが、10〜49人の企業の場合、自己都合退職は566万6000円、定年退職は979万3000円です。
50〜99人の企業は自己都合退職が689万4000円、定年退職は1141万8000円、そして100〜299人の企業になると、自己都合退職が838万1000円、定年退職が1323万円です。この結果から、企業規模が大きいほど退職金の金額が多いことが分かります。
勤務先の退職金規定がどのようになっているかがポイント
ここまで紹介したのは、あくまで平均や目安です。実際に受け取れる退職金は、企業ごとの規定に沿って支給されます。退職金の計算方法や支給条件などは就業規則に明記されており、従業員が閲覧できるのが一般的です。
退職金制度がある場合、退職に関しても就業規則に明記することは、労働基準法第89条で定められています。労働基準法には退職金に関する取り決めはありませんが、就業規則に記載されていれば受け取る権利があります。退職が近い場合は、あらかじめ確認しておくと安心できるでしょう。
退職金の額は業種や企業など条件によって異なる
中小企業で勤続30年だと、大学卒の場合で600〜1000万円前後と考えていればいいでしょう。ただし、同じ企業規模や勤続年数でも、業種や企業によって受け取れる退職金の額は変わってきます。退職金制度を設けていない企業もみられますが、制度がある場合、企業は就業規則に明記しておく必要があります。退職が近づいている人は、退職前に確認しておくとよいでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 4退職給付(一時金・年金)の支給実態
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)モデル退職金
厚生労働省岩手労働局 職場の労務管理に関するQ&A 賃金、退職金、賞与編
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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