老後もみんな働いているのですか? 「公的年金だけで暮らしています」という世帯はどのくらいなのでしょうか?
配信日: 2024.01.30
そこで本記事では公的年金だけで暮らしている人の割合や「高年齢者雇用安定法」の概要について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金だけで暮らしている人の割合は?
厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和3年)に掲載されている「公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給 の総所得に占める割合別世帯数の構成割合」を紹介します。
●公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯……24.9%
●公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯……33.3%
●公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯……15.9%
●公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯……14.0%
●公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯……8.4% 3
●公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯……3.6%
公的年金・恩給だけで生活できている世帯の割合は、約4分の1です。また、100%とはいかなくても80%以上、公的年金・恩給で家計を賄うことができる世帯は約6割を占めています。公的年金で老後の生活を成り立たせている世帯がいかに多いかが分かるのではないでしょうか。
高年齢者雇用安定法とは?
公的年金だけで生活することが厳しい場合は、貯金を切り崩すか、60歳以降も働く必要があります。高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保を義務化した法律です。この法律では、次のことを義務化しています。
●60歳未満の定年を禁止すること
●65歳までの雇用を確保すること
雇用確保のために企業は「65歳までの定年引き上げ」「定年制の廃止」「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」のいずれか1つを行うことが義務化されています。また、公的年金の受給は原則65歳からです。この法律によって、年金が受給できる年齢になるまでの空白期間がなくなりました。
さらに、令和3年4月1日から高年齢者雇用安定法に「70歳までの就業機会の確保」も努力義務として新設されました。
●70歳まで定年を引き上げること
●定年制を廃止すること
●70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)を導入すること
●70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度を導入すること
●70歳まで継続的に事業主が実施または委託や出資する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度を導入すること
こうした企業側の努力義務によって、働く意欲がある高年齢者は70歳まで働きやすくなりました。年金の不足分を労働で補うことができるでしょう。
公的年金だけで生活できている世帯は全体の約4分の1
公的年金・恩給だけで生活できている世帯の割合は、約4分の1です。裏を返せば、約4分の3の人は公的年金だけで生活できていません。公的年金だけで生活することが厳しい場合、年金が受給できる65歳以降も働く必要があります。
高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保を義務化、70歳までの就業機会の確保を努力義務化した法律です。公的年金だけで生活できないことが予想される場合は、老後も働くことを視野に入れて生活設計を立てたほうがよいでしょう。
出典
内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)第2節 高齢期の暮らしの動向
厚生労働省 ハローワーク 高年齢者雇用安定法 改正の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー