「定年後も働こう」と思っています。今の会社で再雇用されると正社員の頃とどれくらい給与が「変わる」のでしょうか?
配信日: 2024.02.01 更新日: 2024.02.08
本記事では、再雇用後の給与水準について詳しく解説します。再雇用後の平均年収や給与水準に関する理解を深めて、老後の生活や資金計画に役立ててください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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再雇用後の給与は低くなる可能性が高い
定年後、再雇用で働く場合は、給与が低下する可能性があります。したがって、再雇用を検討する際には生活費を見直すことが重要です。以前と同じ生活水準を維持しようとすると、家計が赤字になる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
本項では、60歳以降の平均年収や給与水準について詳しく見ていきましょう。
平均年収
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)」によると、60代前半のフルタイム勤務・再雇用者の平均年収は、定年のある企業で377万円となっています。定年年齢別の平均年収は、表1のとおりです。
【表1】
定年年齢 | 平均年収 |
---|---|
60歳 | 369.8万円 |
61〜64歳 | 388.8万円 |
65歳 | 411.5万円 |
66歳以上 | 333.2万円 |
※独立行政法人 労働政策研究・研修機構「高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)」を基に筆者作成
なお、給与所得者の平均年収は457万6000円、年齢階層別の平均年収は60〜64歳は441万円、65〜69歳は342万円となっています。
※出典:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
給与水準の平均値
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)」によると、フルタイム勤務・再雇用者の61歳時点の給与水準は、表2のとおりです。
※60歳直前の給与を100としたときの指数
【表2】
最も高い水準の人 | 平均的な水準の人 | 最も低い水準の人 |
---|---|---|
89.6 | 78.7 | 70.8 |
※独立行政法人 労働政策研究・研修機構「高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)」を基に筆者作成
上記より、60歳直前の給与と比較するとフルタイム勤務・再雇用時の給与は7割から9割程度まで少なくなることが分かりました。
老後資金に備える方法
老後資金を確保する方法には、iDeCoやNISAなどを活用して資産形成を効果的に進める、付加年金や追納を行って年金受給額を殖やすといった手段があります。これらの方法を実践することで、老後資金が増加し、より豊かな生活を実現できる可能性があります。
本項では、老後資金に備える方法について詳しく見ていきましょう。
iDeCoを活用する
iDeCoは私的年金制度の一種で、掛け金は全額が所得控除の対象となり、運用益は非課税です。これにより、資産形成を効果的に進め、将来の老後資金を準備できます。
ただし、iDeCoの運用資金を引き出せるのは原則60歳以降であることに注意が必要です。
NISAを利用する
NISAは、個人投資家向けの税制優遇制度です。株式投資や投資信託から得た利益が非課税となるため、手元資金をより殖やせる可能性があります。
2024年からは新NISAが導入され、従来のNISAと比べて投資枠や非課税期間などが大幅に拡充されています。
付加年金の納付や追納をする
付加年金の納付や追納によって年金受給額を殖やし、老後資金に備える方法もあります。
付加年金は、年金保険料に上乗せして付加保険料(月額400円)を支払うことで、将来の年金受給額が「200円×付加保険料納付月数」だけ増加する仕組みです。
一方、追納は、年金保険料の免除や猶予期間がある場合に、後から保険料を納めることで、年金受給額を満額に近づけることができる仕組みとなります。
詳しくはお住まいの市町村役場へお問い合わせください。
再雇用後は収入が減る。早めの備えが重要!
定年後に再雇用で働く場合、それまでよりも収入が減る可能性があります。したがって、老後資金に余裕を持たせるためには、iDeCoやNISAなどの資産形成、付加年金の納付や追納などの年金対策を行い、早くから準備をすることが重要です。
再雇用後の給与に過度な期待をかけず、他の手段で老後資金を形成することも検討してみましょう。
出典
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
iDeCo公式サイト
金融庁 新しいNISA
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 付加年金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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