更新日: 2024.02.01 定年・退職

非正規なので退職金がありません。正社員になると退職金はどれくらいもらえるのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

非正規なので退職金がありません。正社員になると退職金はどれくらいもらえるのでしょうか?
日本では、長年勤務した際に退職金が支給される「退職金制度」が定着していますが、非正規社員には退職金がないと考えている人も多いでしょう。しかし、退職金制度はそれぞれの企業で内容が違っているので、正社員だけがもらえる制度とはかぎりません。
 
本記事では退職金とは何か、どれくらい退職金がもらえるのかを解説します。興味のある人は参考にしてください。
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退職金とは

退職金制度は、法律によって義務付けられているわけではありません。そのため、退職金をどうやっていくら支払うのか、または支払わないのかは各企業によって違いがあります。しかし、一般的には一定以上勤務した社員が退職する際に、会社がお金を支給する退職金制度が普及しています。
 
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職金制度がある企業は74.9%です。そのため、ほとんどの企業には退職金制度があるといっても差し支えありませんが、退職金がもらえるかどうかは、必ず社内規定で確認しましょう。
 

退職金は非正規でももらえる可能性があるが、正社員でももらえない可能性もある

上述のとおり、日本の企業の80%以上では退職金制度を採用していますが、反対に20%近くの企業には退職金制度がないことになります。退職金制度がない企業であれば、たとえ正社員であっても退職金をもらうことはできません。
 
その一方で、正社員よりは金額は少なくなるかもしれませんが、非正規社員でも退職金をもらえる企業もあります。2020年のメトロコマース事件で、最高裁が「職務内容が違う非正規社員に対して退職金を支払わなくても待遇格差とはいえない」と判決を下したことが話題になりました。
 
しかし、この判決が正社員と非正規社員の待遇格差を見直すきっかけになったことも事実です。非正規社員でも退職金が支払われる可能性はあるので、勤務先の社内規定で確認をしておきましょう。
 

退職金の種類

退職金には、主に以下の種類があるので参考にしてください。


・退職一時金制度:最も一般的な退職金制度で、自社の内部留保から退職時に一括で支給する制度

・確定給付企業年金(DB):企業が外部の金融機関に掛金を運用させ、退職時に一時金や分割で社員に給付する制度

・企業型確定拠出年金制度(企業型DC):企業が掛金を負担し、社員が掛金の運用を行い退職金とする制度

・中小企業退職金共済(中退共):自社で退職金制度がない中小企業のための共済による退職金制度

退職金はどれくらいもらえるか

具体的に退職金がいくらもらえるかは企業によって違うので、正確な金額を知りたい場合は社内規定をもとに自分で計算してみましょう。なお、一時金制度だけでも計算方法には以下の種類があります。


・定額制:勤続年数に応じて定めた金額を掛けて計算

・基本給連動型:退職時の基本給に勤続年数や退職理由に応じた係数を掛けて計算

・別テーブル制:役職や等級に応じたベースの金額に係数を掛けて計算

・ポイント制:社員ごとに各種ポイントを付与し合計を退職金ポイントとして単価・係数を掛けて計算

また、厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」による、管理・事務・技術職で勤続年数・制度別の退職金の平均支給額は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

    

勤続年数 大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
高卒
(管理・事務・技術職)
退職一時金制度のみ 退職年金
制度のみ
両制度併用 退職給付
制度計
退職一時金制度のみ 退職年金
制度のみ
両制度併用 退職給付
制度計
20~24年 892万円 1224万円 1490万円 1021万円 537万円 764万円 526万円 557万円
25~29年 1378万円 1586万円 2001万円 1559万円 572万円 855万円 1013万円 618万円
30~34年 1642万円 1598万円 2352万円 1891万円 768万円 1295万円 1732万円 1094万円
35年~ 1822万円 1909万円 2283万円 2037万円 1670万円 1710万円 2254万円 1909万円
令和5年計 1623万円 1801万円 2261万円 1896万円 1378万円 1613万円 2145万円 1682万円

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」をもとに筆者作成
 

退職金は非正規でももらえる可能性があるので勤務先の社内規定を確認してみよう

退職金は正社員だけがもらえるもので、非正規社員はもらえないイメージがありますが、企業によっては非正規社員でも退職金をもらえるケースがあります。退職金を給付するかどうかは社内規定で定めているので、勤務先で確認しておきましょう。
 
反対に社内規定に退職金の規定がない場合は、正社員であっても退職金がもらえない可能性があります。規定がない場合は人事部などで確認しましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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