更新日: 2024.02.09 定年・退職

60歳以降は年収が下がるのですか? その場合、老後資金はどうすればよいのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

60歳以降は年収が下がるのですか? その場合、老後資金はどうすればよいのでしょうか?
給与所得者1人当たりの平均給与は、50歳代がもっとも高く、60歳代や70歳代になると大きく減っていく傾向にあります。また、定年退職などによって収入源がなくなる可能性も高いため、現役で働くうちから老後資金について考えて、貯金をして備えておくのが安心です。
 
本記事では、50歳以降の平均給与はどのくらいなのか、老後資金はどのくらい必要なのかを解説します。その他にも老後資金を貯める方法もまとめているので、年収が下がることに不安がある人、老後の計画をまったく立てていない人は、ぜひ参考にしてください。
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50歳以降の平均給与はどのくらい?

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」によると、50歳以降の給与所得者1人当たりの平均給与は図表1のとおりです。
 
【図表1】

年齢 平均 男性 女性
50~54歳 537万円 684万円 340万円
55~59歳 546万円 702万円 329万円

国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」より筆者作成
 
50歳代の年収を見ると、前半の平均は537万円、後半になるとやや上昇して546万円となっています。
 

60歳以降になると平均給与が下がる傾向

同調査では、給与所得者1人当たりの平均給与は50歳代後半でピークに達し、60歳以降になると図表2のように下がる傾向です。
 
【図表2】

年齢 平均 男性 女性
60~64歳 441万円 569万円 267万円
65~69歳 342万円 428万円 227万円
70歳以上 298万円 367万円 211万円

国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」より筆者作成
 
50歳代と比べて60歳以降に平均給与が大きく下がるのは、定年退職を迎え再就職や再雇用による減収が理由として挙げられるでしょう。
 

老後資金はどのくらい必要?

総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要 」によると、65歳以上の夫婦高齢者無職世帯と単身無職世帯の消費支出は図表3のとおりです。
 
【図表3】

消費支出
65歳以上の夫婦高齢者無職世帯 23万6696円
65歳以上の単身無職世帯 14万3139円

総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要 」より筆者作成
 
また、公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」では、夫婦2人の老後の最低日常生活費は平均で月額23万2000円、さらにゆとりある老後生活費は14万8000円を上乗せした月額37万9000円とあります。
 
60歳代以降に老後資金を本格的に貯めるとなっても、減収によって思うように増やせないことも想定できます。老後資金がどのくらいかかるのかの目安を理解し、早いうちから貯めておくのが安心といえるでしょう。
 

60歳を過ぎれば公的年金の受け取りが可能

公的年金は原則として65歳から受け取れますが、繰上げ受給によって受取開始年齢を60歳から65歳になるまでに前倒しが可能です。ただし、繰上げ受給の請求を行った時点で年金が減額し、その際の減額率は1ヶ月繰上げるごとに0.4%、1年間で4.8%、最大24.0%となり、生涯にわたって継続します。
 
例えば、老齢基礎年金の満額79万5000円(令和5年度の年金額)から最大の24.0%減額となった場合、年間の受給額は60万4200円になる計算です。
 
老後資金が足りない場合、年金の繰上げ受給を検討するのも方法の一つです。しかし、受け取れる年金額が少なくなることを考えたら、繰上げ受給ではなく別の方法で老後資金を貯めたほうが効果的といえるでしょう。
 

減収をカバーして老後資金を貯める方法

50歳代後半をピークに平均給与が下がることを想定して、以下の方法で老後資金を貯めておくとよいでしょう。

●定年退職後も再雇用や再就職で働いて収入を得る
●定年退職前から副業などで収入を得て貯金に回しておく
●毎月の支出(固定費の削減など)を見直して節約できた分を貯金に回しておく
●積立預金や財形貯蓄で確実に貯めておく
●NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)の活用
●妻が専業主婦の場合は働いて世帯収入を増やす
●住宅ローンの契約がある場合は、繰上げ返済や一括返済などで利息の軽減や返済期間の短縮を行う

どれか一つ行うだけでも、老後資金を増やすことが期待できるでしょう。ただし、少しでもゆとりある老後生活を送りたいのであれば、定年退職前から複数の方法を行っておくと、老後資金をより効率よく貯められるので安心です。
     

減収を想定して早いうちから老後資金を貯めておこう

給与所得者1人当たりの平均給与は50歳代後半でピークに達し、60歳代、70歳代になるにつれて減ります。給与が下がってから老後資金を貯めようと思っても、生活費以外のお金を用意できないとなる可能性も高いです。
 
30代や40代のうちは「老後生活はまだまだ先」と考えてしまい、老後の資金計画を立てておこうと考える人は少ないでしょう。しかし、収入があるうちに老後資金を貯めておけば生活の安心感が高まります。ぜひ、この機会にどのようにお金を貯めていくかの計画を立てることを検討してみてください。
 

出典

国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
日本年金機構 年金の繰上げ受給

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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