更新日: 2024.02.08 その他老後

65歳以降は「持ち家」を手放すべき?年金月額15万円の場合「持ち家」「賃貸」どちらが得か

執筆者 : 柘植輝

65歳以降は「持ち家」を手放すべき?年金月額15万円の場合「持ち家」「賃貸」どちらが得か
年金を受け取りはじめる65歳以降、住居を持ち家とすべきか賃貸とすべきか、悩みはじめる方も少なくないようです。老後、収入が限られた中でより安定した生活を送ろうと考えると、仕方のない話でもあります。
 
そこで、年金月額15万円の方を想定して、持ち家と賃貸、どちらにすべきか考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

月々の支出を抑えるなら持ち家の方がよい

単に「月々の支出を抑えるだけ」という観点であれば、持ち家の方がいいでしょう。総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、2022年の月々の住居費は消費支出23万6696円のうち6.6%、額にしておよそ1万5621円です。65歳以上の単身無職世帯では、消費支出14万3139円のうち8.9%で、およそ1万2739円です。
 
それに対して、総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」によれば、賃貸における2018年の1ヶ月当たりの家賃は5万5675円であることが分かりました。
 
これらの統計を見る限り、「単に月の支出を抑えていく方が得」と考えるのであれば、賃貸より持ち家の方が得であるといえるでしょう。特に年金月額が15万円だと考えると、5万円を超える家賃は決して安くないといえます。
 
もちろん、「固定資産税が非常に高い」「築年数が古く、維持修繕の必要となる頻度が高すぎる」など特殊な事情がない限り、基本的に「金銭的な支出を低く抑えたい」という目的で持ち家を手放すことはおすすめできません。
 

自由度の高さなら持ち家がよい

また、自由度の高さも考えると、持ち家の方が賃貸よりいいと考えられます。お金こそかかりますが、持ち家なら自由にリフォームできます。「足腰が悪くなってきたから、バリアフリー化を進めたい」と思っても、賃貸物件では自由に行うことができません。そういった場合、別の賃貸物件に引っ越すことになるでしょう。
 
しかし、引っ越しをすると現物件からの退去費用の他、敷金や礼金に加え、引っ越し業者に払うお金も含めると、リフォームするより費用が高くなる可能性もあります。将来的な自由度の観点から見ても、持ち家は安易に手放すべきではないでしょう。
 

相続時の処分を考えたら賃貸

一方、老後を賃貸で過ごすことにも、得であると感じられる点はあります。それは相続時の処分が不要である点です。
 
近年では、親の残した実家の処分に頭を悩ませるという話も珍しくはありません。空き家率も増加傾向にあり、総務省の2018年の統計「総務省統計局 平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要」では、なんと13.6%が空き家となっています。
 
親としては財産を残したつもりでも、古い家や遠方にある実家は、子どもからすれば「負の遺産」のように感じられることもあります。実際、取り壊し費用に数十万円かかることや、住みつづけようにもリフォームで100万円単位のお金がかかることもあるようです。
 
その点、賃貸であればそういったことはなく、契約を解除すれば取り壊し費用もリフォーム費用もかかりません。
 

まとめ

持ち家を有しているのであれば、よほど古くて、リフォームやバリアフリー化などに多額のお金がかかるという、特殊な事例でない限り、持ち家に住みつづけるべきです。特に年金月額が15万円であればなおさらです。
 
とはいえ、個別の事情によって最適な答えは変わります。もし、65歳以降は持ち家か賃貸か、どちらに住むか悩んだときは、一度維持費や家賃、リフォーム費用などを見積もり、計算してみてください。
 
そうすることで、自分にとってはどちらを選ぶのが正解か見えてくることでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要
総務省統計局 平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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