更新日: 2024.02.09 介護

親の「認知症」が銀行に知られ、「500万円」貯めていた口座が凍結された…親の代わりに引き出すことはできないの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

親の「認知症」が銀行に知られ、「500万円」貯めていた口座が凍結された…親の代わりに引き出すことはできないの?
「親が認知症であることを銀行に知られ、口座を凍結されてしまった……」「凍結されてしまった口座のお金は、もう諦めるしかないのだろうか」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
 
そこで今回は、認知症になった人の口座が凍結されてしまう理由について説明しつつ、口座が凍結されてしまった際にできることについて説明します。
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認知症の人の口座はなぜ凍結される?

銀行口座の名義人を詐欺や横領からお金を守るために、認知症になると口座が凍結されることがあります。銀行は病院と連携しているわけではないので、認知症の診断を受けたと同時に口座が凍結されるわけではありません。
 
しかし、下記のようなタイミングで銀行に名義人が認知症であることを知られることがあります。

●家族が銀行に、名義人の認知症について相談する
●1日の限度額いっぱいの引き出しが複数回確認される
●名義人が窓口で手続きをする際、対応した銀行員が判断能力の低下に気づく
●多額の出金や振り込みが確認される

そのため、家族が認知症であることを隠して本人のキャッシュカードを借りて引き出しをしても、そのうち銀行に知られてしまい、口座を凍結される可能性は高いです。
 

認知症の人の口座を凍結されるとどうなる?

家族が認知症であることを隠して、本人のキャッシュカードで引き出しをしていることが銀行に知られ、口座を凍結されてしまうと、下記のような影響が考えられるでしょう。

●親族がお金を使うことができない(本人の介護費用などが支払えない)
●定期預金を解約できない
●「代理人カード」が利用できない

銀行の口座が凍結されると、家族は当然のことながら、名義人自身も口座を利用できません。定期預金の解約もできなくなるので、定期預金を解約することで、本人の生活費や医療費を捻出することもできません。
 
また、銀行によっては家族が口座を利用できる「代理人カード」などを用意しているところもありますが、このサービスも利用できなくなるようです。
 

認知症の家族の口座凍結を解除するには「成年後見制度」を利用する必要がある

一般社団法人全国銀行協会によると、口座の名義人が認知症であることが銀行側に伝わり、口座が凍結された場合「成年後見制度」を利用しなければなりません。「口座が凍結されてしまったら、もうその二度とその口座のお金を引き出せない」というわけではありません。
 
成年後見制度を利用して適切な手続きをすれば、口座が凍結されてしまったとしても、再び利用できるようになる可能性があるようです。
 
成年後見制度を利用する際は、まず家庭裁判所に後見開始の申し立てをします。続いて、家庭裁判所が申し立てに対する調査や審判をして「後見人」が選定される、という流れです。
 
ただし、この後見人には、必ずしも親族が選定されるとは限りません。法律や福祉の専門家はもちろん、福祉関係の公共法人が選ばれる可能性もあります。
※出典:厚生労働省「成年後見制度とは」
 
そのため「将来的に判断能力がなくなってしまうかもしれない」と悩んでいる方は、親族や周りの人と相談しながら支援してもらう人や内容を決められる「任意後見制度」を検討するといいでしょう。
 

家族が認知症になっても、落ち着いて正しい対処をしよう

ご家族が認知症になり、お金を引き出せなくなっても、成年後見制度を利用すれば対処できます。早めに「任意後見制度」を利用するのが理想的ですが、口座が凍結されてしまってからでも、対処次第でお金を引き出すことも可能です。
 
確かに、口座を凍結された時に焦る人は多いでしょう。しかし、情報を整理できれば、焦ることはありません。落ち着いて、できることから順番に沿って進めていきましょう。
 

出典

厚生労働省 ご本人・家族・地域のみなさまへ 成年後見制度とは
一般社団法人 全国銀行協会 預金者ご本人の意思確認ができない場合における預金の引き出しに関するご案内資料
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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