更新日: 2024.03.05 定年・退職

目標とする老後貯蓄まで「500万」不足した状態で定年に。今後何年間働き続けたらよいでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

目標とする老後貯蓄まで「500万」不足した状態で定年に。今後何年間働き続けたらよいでしょうか?
老後2000万円問題などが取りざたされ、定年後の生活が心配な人も少なくないでしょう。老後の生活のために目標を定め、貯蓄に励んでいる人や家庭もあります。しかし、すべての人が目標の金額をためられるとは限らず、目標金額に届かないまま定年を迎える人がいる可能性もあります。
 
今回は、目標老後貯蓄まで500万円不足した状態で定年した人は、さらに何年間働き続けなければならないかを考えてみましょう。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高齢者の支出と収入

定年退職後、もし働くのをやめたら月の収支はどうなるのかを、総務省統計局の「家計調査」の結果からみてみましょう。2022年の同調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の可処分所得は、月平均で約21万4000円となっています。消費支出額は約23万7000円なので、平均で2万3000円ほどが不足する計算です。
 
65歳以上の単身無職世帯では収入と支出が異なるものの、同様に毎月2万円ほどが不足する結果となっています。これらの世帯では実収入に社会保障給付以外も含まれているので、年金のみでは、さらに不足する世帯が出る可能性があるでしょう。
 
目標老後貯蓄まで500万円不足した状態で定年退職になり、かつ毎月赤字となれば、いつかは貯蓄も底をつき、生活ができなくなってしまうおそれがあります。そうした事態を防ぐには、定年退職後も働き続けなければいけません。
 

・高齢者の平均労働収入

厚生労働省による2022年の「賃金構造基本統計調査」によると、65〜69歳の平均月給は約25万8000円となっています。70歳以上は約23万8000円です。定年退職後の労働収入は、手取りで19〜20万円程度になるとみられます。年金のみでは毎月2万円の赤字となると仮定した場合、さらに平均的な労働収入があれば毎月17〜18万円ほどの黒字となる計算です。
 

500万円をためるのに必要な年数

単純に500万円をためたい場合、どの程度の年数が必要になるのかを考えてみましょう。定年退職後も働き平均的な収入を得たとすると、毎月17〜18万円ほどの黒字となります。年間では、200〜220万円ほどです。単純に計算すれば、3年もあれば500万円以上の貯蓄が可能です。
 
ただし、紹介したように家計調査の結果では、実収入に社会保障給付以外も含まれています。また、同調査結果では持ち家に住んでいる高齢者世帯も対象となっているため、住居費が1万円程度と低くなっている点にも注意が必要です。賃貸住宅に住んでいる場合は家賃もかかることから、毎月の不足額が10万円近くになる世帯が出てきてもおかしくはありません。
 
仮に、年金のみでは毎月10万円ほどの赤字が出るとすると、労働収入により手取りで月に20万円得ていたとしても、黒字額は10万円ほどにとどまります。年間では120万円です。500万円をためるには4〜5年ほどはかかるでしょう。
 

目標の金額を計算し直してみよう

紹介したのは、あくまでも500万円をためるのに必要な年数の推計です。平均的な年金を受け取ったうえで働いたケースととらえておきましょう。
 
ただ、年金を受け取りつつ定年後も5年間働き続け、70歳になって500万円をためられれば、目標を上回る貯蓄額となっている可能性もあります。定年までに積み上げた貯蓄を切り崩す必要がなく、これまでの貯蓄に500万円を上乗せした状態で70歳を迎えられるためです。
 
そもそも、老後に必要な金額がそこまで必要ない可能性もあるでしょう。正しくおそれることは必要ですが、過剰におそれると、実態とは異なる想像をしたり必要以上の目標設定をしたりしかねません。自身の毎月の支出や年金額などを考慮し、本当に必要な金額を改めて割り出してみる作業も必要です。
 

定年後も5年ほど働けば500万円ためられる可能性がある

定年退職を迎えたものの、当初計画していただけの金額をためられなかった人もいるでしょう。そのような場合は、定年退職後も働き続けなければ、年金だけでは生活が苦しくなるおそれがあるため注意が必要です。
 
高齢者の平均的な収支データをみると、5年前後で500万円をためられる可能性があります。働きたくない気持ちも理解はできますが、70歳以降の生活を楽にするためにも、もう少しだけ働くという選択をしてもよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査の概況
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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