【43歳パート主婦】定年後は夫婦で年金「月20万円」で暮らせそうですが、先に夫が亡くなっても生活できるでしょうか? これまでパートだけだったので不安です…
配信日: 2024.03.06
本記事では専業主婦やパート勤務の主婦の人を例に、65歳以降に夫が先に亡くなった場合、今後いくら年金をもらうことができるかを解説します。
執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)
CFP、行政書士
老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給可能
年金は原則として1人1年金が支給されます。例えば、遺族厚生年金と65歳未満の特別支給の老齢厚生年金を同時に受給することはできません。ただし、65歳以降で年金(老齢基礎年金もしくは老齢厚生年金)の受給資格がある場合、老齢給付と遺族給付はどちらも受け取ることができます。
老齢基礎年金(国民年金)のみである場合、老齢基礎年金に遺族厚生年金が上乗せされることになります。自身も厚生年金を受給できる場合、遺族厚生年金は、老齢厚生年金より年金額が高い場合に、その差額を受け取ることができます。
図表1
日本年金機構 年金の併給または選択 より筆者作成
遺族厚生年金は以下のいずれか多いほうの金額が支給されます。
(1)死亡した夫の厚生年金額の報酬比例部分の3/4
(2)死亡した夫の厚生年金額の報酬比例部分の1/2+妻自身の厚生年金額の1/2
したがって、自分の厚生年金額が少ない場合には(1)を選ぶほうが有利になります。
夫婦2人で年金20万円なら夫が亡くなった後にもらえる金額は約12万円
それでは、具体的な金額を計算していきましょう。以下の計算は簡略化していますので、実際の金額とは異なる点に注意してください。便宜的に老齢基礎年金と老齢厚生年金を分けて記載しています。
夫婦合わせて年金受給額20万円を前提とします。このうち、夫は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給しますが、妻は老齢基礎年金のみを対象とします。老齢基礎年金は2024年度の満額である月額6万8000円をベースとします。
夫の老齢基礎年金:6万8000円
夫の老齢厚生年金:6万4000円
妻の老齢基礎年金:6万8000円
計)20万円
遺族厚生年金:6万4000円×3/4=4万8000円
妻が今後もらえる年金額:老齢基礎年金+遺族厚生年金
6万8000円+4万8000円=11万6000円
仮に妻も厚生年金を2万円受給していた場合は、以下のようになります。
夫の老齢基礎年金:6万8000円
夫の老齢厚生年金:6万4000円
妻の老齢基礎年金:6万8000円
妻の老齢厚生年金:2万円
計)22万円
遺族厚生年金:4万8000円(6万4000円×3/4)-2万円(支給停止分)=2万8000円
妻が今後もらえる年金額:老齢基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金
6万8000円+2万円+2万8000円=11万6000円
65歳以上であれば老齢年金と遺族年金は併給できますが、自身の老齢厚生年金よりも遺族厚生年金のほうが大きい場合、老齢基礎年金だけの場合と変わらなくなります。
遺族給付の仕組みは複雑。専門家に相談を
本記事では遺族厚生年金について簡略化して説明しましたが、遺族給付には子どもがいる場合の遺族基礎年金、死亡一時金や寡婦年金、中高齢寡婦加算などがあり、受給条件や支給時期なども異なり、非常に複雑です。
遺族給付は残された家族が困らないようセーフティーネットの役割を果たしますが、実際にそのような状況になった時は、まず年金相談センターや社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
出典
日本年金機構 年金の併給または選択
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします
執筆者:御手洗康之
CFP