更新日: 2024.03.08 定年・退職
【定年後の税金】買い物で支払う「消費税」だけではない?「住民税」の支払いがあるって本当?
本記事では、定年退職後も支払い義務がある税金について解説します。定年間近で、今後の年金生活の計画を立てようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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定年後も支払い義務のある3つの税金
定年退職後は、買い物時に発生する消費税の支払いのみで、ほかの税金の支払いは発生しないと考えている人も多くいます。しかし、定年退職後でも納めることを知っておかなければならない税金が3つあります。それが、所得税・住民税・固定資産税です。それでは、3つの税金の支払いについて詳しく見ていきましょう。
所得税
所得税は、定年後であっても所得が発生する場合には支払い義務があります。例えば、定年後に再び働き始めた人や、ほかの所得を受け取っている人は支払いが必要です。また、年金は雑所得とみなされ、一定額を超えると所得税の支払いが発生します。
65歳以上は収入から引ける控除額の金額が、65歳未満より大きくなります。国税庁によると、基礎控除額は合計所得額が2400万以下の場合は48万円と一律ですが、公的年金等控除額は収入金額の合計額によって異なり、最大195.5万円です。
たとえば、定年退職後で65歳以上、公的年金などの収入金額の合計が300万円だった場合、公的年金等控除額は110万円なので合計で158万円の控除が受けられます。年金受給額が158万円以下の場合、所得税は課されません。
なお、所得税が課される場合は、控除額を引いた所得から5.105%の所得税が引かれます。所得税は基本的に年金から天引きして、納税者本人の代わりに納付する源泉徴収が行われます。なお、平成25年1月から令和19年12月末までの間に生ずる所得は所得税と合わせて復興特別所得税が源泉徴収されるようです。
住民税
住民税は、1月1日時点の住所の自治体から課される税金です。また、住民税は前年度の収入に対して課される税金です。前年の1月から12月の所得をもとに算出されるため、退職の翌年は年金受給額に対して課税額の割合が大きくなります。
※出典:東京都主税局「個人住民税」
会社員をしているときは、一般的に給料から住民税が引かれていましたが、定年後は自分で住民税を納付する必要があります。また、所得税がかからない場合でも住民税は発生する場合があるので注意が必要です。なお、住民税も所得税と同様に、年金から源泉徴収されるのが一般的です。
固定資産税
固定資産税は、固定資産を所有している人にかかる税金です。例えば、土地や住居などが該当します。固定資産税は、固定資産評価額×1.4%で算出可能です。固定資産税は評価額をもとに計算するため、土地の大きさや立地、建物の大きさなどにより異なります。
※出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
持ち家のローンを定年前に支払い終わっていたとしても、固定資産税は定年後も課されます。そのため、住宅を購入する際は定年後の固定資産税の支払いまで視野に入れて資金計画を立てましょう。
定年退職時の節税対策
定年退職をした翌年は住民税が高いため、税金の支払いが大変と感じる方も多くいます。住民税の負担を少しでも減らすためには、確定申告をして前年の所得税を抑えるのがおすすめです。所得税が低くなれば住民税も下がります。
国税庁の内容を基に、確定申告によって所得税を抑えられる主なケースを4つ紹介します。
●「退職所得の受給に関する申請書」を未提出の場合【退職所得申告】
●年度の途中(12月末以外)に退職し、年末調整していない場合
●個人事業の副業で赤字がある場合【損益通算】
●医療費が多くかかった時やふるさと納税を利用している場合【医療費控除・寄附金金控除】
定年後の翌年の住民税に注意が必要
定年後でも、消費税以外に支払いが必要な税金はあります。とくに注意する必要があるのは、住民税です。住民税は前年の収入に対して課されるため、定年後の収入が年金のみとなる場合、定年退職をした翌年は住民税の支払いが大きな負担になる可能性があるでしょう。定年後の税金負担を減らすためにも、自分の状況に合わせて所得税を下げる確定申告を行うことをおすすめします。
出典
国税庁
No.1199 基礎控除
No.2250 損益通算
No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき
No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)
高齢者と税(年金と税)
A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)
東京都主税局
個人住民税 | 税金の種類
固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー