更新日: 2024.03.14 定年・退職
勤めている会社は「退職金」が出ないため将来が不安です。退職金が出る会社は日本にどれくらいありますか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
退職給付制度がある企業の割合は74.9%
退職給付制度は、全額を一括で受け取る「退職一時金制度」と、決められた額を定期的に受け取る「退職年金制度」に大きく分けられます。「退職一時金制度のみ」「両制度併用」といったように、企業によって運用方法が異なる点に注意が必要です。
その点を踏まえ、退職金制度を設けている企業の割合を見ていきましょう。厚生労働省が実施した「令和5年就労条件総合調査」によると、退職一時金制度と退職年金制度のうち、少なくともひとつは存在する企業の割合は74.9%となっています。
企業規模別では、1000人以上が90.1%、300~999人が88.8%、100~299人が84.7%、30~99人が70.1%と、従業員が多い企業ほど退職給付制度を整備している傾向にあります。また、退職給付制度がある企業のうち、最も割合が高い運用方法は「退職一時金制度のみ」の69.0%でした。「退職年金制度のみ」は9.6%、「両制度併用」は21.4%と低い水準にとどまっており、多くの企業では退職一時金制度が主流となっています。
退職金がないと損? 退職給付制度がない企業で働くメリット
退職金がないと損をしてしまうように捉えがちですが、必ずしも制度があるからお得、制度がないから損というわけではありません。例えば、退職給付制度がない企業には以下のようなメリットがあります。
・給与やボーナスを高めに設定しているケースが多い
退職金を支払わない代わりに、毎月の給与や定期的なボーナスを高めに設定している企業が見られます。日々の報酬に上乗せして支給されるため、トータルで見ると、退職金がある企業と比べて受け取る金額にほとんど差が生まれない場合があります。本来、退職金は退職後に受け取るものですから、それを若いうちから給与やボーナスの上乗せ分として受け取れるのは、人によってはうれしいポイントになるのではないでしょうか。
・勤続年数が短い人ほど恩恵を受けやすい
退職金はその企業で働いた人なら誰でも受け取れるものではなく、「勤続3年以上の人が支給対象」「懲戒解雇の場合は減額または不支給」など、ルールが定められていることが一般的です。同じ企業に長く勤めるほど多くもらえる仕組みになっているため、勤続年数が短い人はもらえる金額が少ない、もしくは支給対象にならないケースが少なくありません。
例えば、1年や2年といった短期間で転職を繰り返す人は、退職給付制度がある企業よりも、ない代わりに給与やボーナスが高い企業を選ぶと得をしやすいでしょう。
退職給付制度がないから損とは言い切れない
日本では74.9%の企業が退職給付制度を運用していますが、制度がない企業でも必ずしも損になるわけではありません。退職金を支払わない代わりに給与やボーナスを高めに設定している場合があるため、待遇や自分の働き方と照らし合わせながら損得を考えるようにしましょう。「退職給付制度がないから将来が不安」とやみくもに思い込むのではなく、総合的に判断することが大切です。
出典
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 退職給付(一時金・年金)制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー